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世界のホワイトカラーを脅かす!?パナマ文書が語る”格差”のからくり

記事作成: 酒井陽大   記事編集: 酒井陽大 | Global |2016.04.28

連日メディアで取り上げられ、世界中で話題となっている「パナマ文書」。中南米に位置するパナマのある法律事務所が原因となった騒動に世界の富裕層が怯えています。

今回はこのパナマ文書が示した世界の富を独占し、富裕層が生み出す格差のからくりを明らかにしていきます。

パナマ文書の流れ

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パナマ文書とは、パナマにある法律事務所「Mossack Fonseca(モッサク・フォンセカ)」が行っていた過去40年分の業務内容の機密情報をドイツの新聞会社「Süddeutsche Zeitung (南ドイツ新聞)」が何らかの形で入手したことを端に発します。

この40年分の機密情報は合計2.6TB(テラバイト)という膨大な情報量であったために、一国の新聞社で情報開示に至るには荷が重いと判断し、ICIJ(国際調査報道ジャーナリスト連合)に情報を開示。そして今回のパナマ文書と呼ばれる情報流出につながったのです。

今回機密情報と言われるものが、富裕層が使っている「タックス・ヘイブン」の存在でした。

タックス・ヘイブン

chicago-690364_960_720 タックスヘイブン(租税回避地)とは、今回話題となったパナマのようなカリブ海の国々だけではなく、ヨーロッパのオランダ、ルクセンブルグなども含められますが、世界最大のタックス・ヘイブンはイギリスのロンドンと言われています。

主にタックス・ヘイブンと呼ばれる条件は次の3つです。

①  低税率

②  秘密保持

③  手続きの簡便性

タックス・ヘイブンは主に自国で課される企業の法人税・個人の所得税を回避するために使われます。積極的な外資誘致を念頭に置いているパナマのような国は税率を著しく低く設定する、もしくは0に設定しているため、租税回避にはもってこいの場と言えます。企業はペーパーカンパニーと呼ばれる形だけの会社を作り、そこに資金を流し込むことで自国での課税対象から逃れているのです。

実際の先進国の法人税率は以下の通りです。名称未設定(出典:財務省)

今回騒動になったパナマは2011年以降一貫して法人税率を25%にしています。

タックス・ヘイブンはお金の出し入れについて外国の税務署から問われても応じる義務が発生しないため、脱税が行われていても明らかにされないまま簡単な手続きと委託料のみでことが済んでしまうのです。

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タックス・ヘイブンによる課税回避。それ自体は違法行為ではありません。外国の外資誘致は健全な市場活動ですが、自国で税を納めないことはモラル違反と捉えられてもおかしくありません。

今回の騒動でアイスランドのグンロイグソン首相が辞任、イギリスのキャメロン首相やロシアのプーチン首相らも市民や議会に詰められています。他にもパキスタン首相親族、ウクライナ大統領、サッカー界の秘宝リオネル・メッシなどの名前もあがっている状況です。

一国を担う首相や有名人、ホワイトカラーの層が脱税をすれば、国内で再分配されるはずの富が消え、その下の中間層・貧困者がますます税を払い、小さな福祉を受けることとなります。この間にも国内での格差は広まっていくのです。

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参考資料:

世界の富を再分配する30の方法(合同出版)

NHK NEWS WEB(http://www3.nhk.or.jp/news/web_tokushu/2016_0408.html)

財務省(https://www.mof.go.jp/tax_policy/summary/corporation/084.htm)

 

編集後記

違法性がないとはいっても、タックス・ヘイブンを使用した税逃れのようにモラルに反する行為は政府や企業にとって信頼を失うことに繋がります。パナマ文書のような情報のリークは一国の政治体系を覆す可能性を秘めているのです。一方で、パナマ文書によって世に明るみに出なければ、いまもパナマで脱税が行われ続けていたこともまた事実です。

問題の根本をいかにして抑え、対処していくのか。タックス・ヘイブンのようなグローバリゼーションに付随して起こる問題に対して、当事国だけでなく、世界的な取り決めや規制が必要なのではないでしょうか。

(記事作成:酒井陽大   記事編集: 酒井陽大 )

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