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本気で日本の未来を考える株式会社/マジコウ代表取締役  田中伶さん

ビジネスマンとして成功するには?~セルフブランディングの前にすべきこと~

記事作成: 田中嘉   記事編集: 田中嘉 | Innovation |2013.02.27

泥臭い努力も大切にする努力家だということがわかった。実はお会いするのは3回目になる田中伶さんだが、いつも優しくフランクに接してくださる。 今回のゲスト田中伶さんは、「私も学生時代、自分の進路にすごく悩み苦しみましたから」と語る、24歳。大学を去年卒業しているにもかかわらず、100名以上のキャリアカウンセリングなどを行ってきた実績をもちメディアにも多く取り上げられている。今回は、キャリアカウンセラーという切り口から「これからの時代に求められる人物像」として、セルフブランディングの前に必要なことについてお話を聴いた。

本気で日本の未来を考える株式会社/マジコウ代表取締役

田中 伶(たなか れい)

1988年生まれ。関西大学在学中にProValue(プロバリュー)を立ち上げる。経営学を使ったキャリアデザインをテーマに、学生&社会人向けのビジネススクールを企画・運営。10代〜20代後半まで、関西を中心に、100名以上の学生のキャリアデザインに関わる。その他、学生向けのイベントでの登壇や、NHK「ニッポンのジレンマ」や大前研一のビジネス・ブレークスルー大学での番組出演、キャリアに特化したメルマガやコラムの執筆などを行なっている。 ブログ「毎朝8時の使える経営学」が人気で、現在はBLOGOSでも配信中。仕事を”ちゃんと”出来るビジネスパーソンを大人達が真剣に育てるためのコミュニティ、マジコウを設立。代表取締役を務め、参加者の自己分析・キャリアカウンセリング・経営学講座を担当している。

学生インタビュアー

田中 嘉(たなか よしみ)

日本インタビュアー協会認定インタビュアー。
1991年東京生まれ。小学1年生から日本伝統芸能「能」を始め、6年間学び宝生流仕舞課程修了。将棋初段などを取得。高校時代に、オーストラリア、イギリスケンブリッジ、ブライトンなど3度留学。高校3年時には、小学生などにコミュニケーション教育活動を行うKEAOSを設立。その後慶応義塾大学環境情報学部に入学。60以上のインタビュー経験をもつ学生インタビュアー。
@Josh_yoshimi
HP:yoshimi-tanaka.com/

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「肩書き/セルフブランディング時代」の終焉

田中「まずは、これからの時代の変化について教えてください。メディアからの情報ももちろんなのですが、なにかご自身の肌で察知している「これからの時代の変化」というものは何かありますか。」

田中伶「私が肌で感じることですか……。少し言いにくいですが、ありますよ。まず肩書きやセルフブランディングばかりを重視していく時代というものは廃れていくでしょうね。これは、私も気をつけなくてはいけないところですが(笑)。あ、前提として申し上げますが、私はどんな人からも「学ばせていただきたい」と思っていますし、いまから言うような方々を決して「否定している」わけではありません。「例えば」の話として聴いてくださいね!自戒をこめてお話します。」

田中「わかりました」

田中伶「「肩書き/セルフブランディングを重視する時代」というのはどういうことかというと、世間的な雰囲気とメディアの働きによって、自分に面白い肩書きをつけてブランディングをすれば「よし」とされる風潮があるということです。その人の「表面的な面白さ・独自性」だけを広く認知させることによって、「中身」があるかどうかにかかわらず、有名になる人が増えてきています。そういった方々の一部は、実は食べていけるだけのお金を得られていないにもかかわらず、メディアは「良いところ」のみを誇張して報道する。結果的にそのメディア報道をみた若者たちが、その人たちを「すごい」と憧れはじめます。「スゴい人たち−メディア−若者」みたいな図式ができあがるんですよね。こういった風潮は、じきになくなっていくと私は思っています。」

田中「確かにそういった話はお聴きしますね。フリーランスの方など、確かに「生き方」としての魅力はありますし、本当に素敵な方も多いです。でも、実際に経済基盤をしっかりと持てているかといったら疑問なんですよね。また学生が「あがめる」ということについては、盲目化しないことが大事なのかなあ、と。四角大輔さんやチームラボの猪子寿之さん、家入一真さんなど、学生の「アイドル」的な方が、いまたくさんいらっしゃるんですよね。でも、たとえ周りの人たちが、すごい人たちの生き方や在り方に強く共感していたとしても、その「風潮」になんとなくつられていくというのは、やはり危険だと思います。gi人材の「自分の頭で考える能力」ではありませんが。」

田中伶「そうですね。今、名前をだしていただいた方々は本当に力のある方なのだと思いますが、世の中にはいろんな方がいます。自分の能力がないが故に、自分の外側だけをブランディングして「よく魅せよう」という人たちも結構いるんです。今後はますます「実績」というものが大事になってくると私は思います。例えば、自分のつくったサービスで何万人のライフスタイルを変えたとか、どれだけの効果があったかこんなムーブメントを起こしたとか……。「実績」がないと社会的に評価されない時代がくるだろうな、というのはすごく感じます。」

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田中「しっかりとビジネスにおいて実績をだせる人間。そしてブランディングにまけない「中身がある」人間になるためにはどうしたら良いのでしょうか。」

田中伶「ビジネスの基礎の基礎ですが、「中身」がある人になるためには、単純に3つの要素をもっていれば良いと思います。誰でも聴いたことがある、5W1Hの中のWHO、WHAT、HOWですね。

<ポイント>

  • 1.「WHO」―誰に自分の価値を届けるか?ということ。
  • 2.「WHAT」―自分は誰に「何の」価値を届けられるか?ということ。
  • 3.「HOW」―どのように届けるか?という方法です。

 

これらが明確であれば、理論上ビジネスが成り立つと言われています。さらにこの3つに対する答えを明確化した上でブランディングをすれば、自分の成し遂げたいことは実現可能なものに近づきますよね。先ほど言ったブランディングだけを重視している人は、極端に言えば自分の“見せ方”だけを定義付けしているので「WHO」と「WHAT」が圧倒的に足りていないんです。」

「仕事を創れる人」になるためには、見たくないものをみなくてはいけない。

田中「中身がある人間、しっかりとビジネスができる大人になるということの大切さ。これを言い換えれば、誰に何をどのように届けたいかを明確にすることが大事、ということですよね。これも含め、「これからの時代に必要とされる人材」とは、どのような力をもった人材だと思いますか。」

田中伶
「「自分で仕事をつくれる人材」ですね、究極的には。自分で仕事をつくれるようになるためにはいろいろな力が必要ですが、さきほどのWHO,WHAT,HOWの話に立ち返って考えてみます。そのなかの「WHAT」—「何の」価値を届けるかというところに着目してお話しします。」

田中「お願いします。」

田中伶「自分の提供できる価値は何かを考える時、私は「見たくない自分もちゃんと見る力」が大事だと思っています。」

田中「見たくないものをちゃんと見る力ですか。gi人材でいうストレス耐久力ともかかわってくるところですね。」

田中伶「はい。自分の提供できる価値を探す際には、結局のところ自分は何者かという根源的なところまで思考を深めなくてはいけません。例えば「いつ・どのような時に・なにをすることが・自分にとって幸せか」ということや、「自分は結局どんな人のためになりたいか」などと振り返ることが必要ですよね。でも、単に自分の振り返りたいポジティブな過去だけでなく、「見たくない自分を見る」ことが意外と大事だと私は思うんです。簡単にいえば、自分すら気付いていない「弱み」の部分もしっかりみつけだしてあげることが、後々良い「自分把握」になるということですね。」

田中「なぜですか?」

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田中伶「例として私の場合をお話しします。私の場合、「自分」というものを深く理解するために、あまり思い出したくない幼少期の経験と向き合いました。

そもそも私の自己分析は「幹事をするのが好き」というところから始まったので「なんで幹事が好きなのか?」とほり下げました。すると「みんなが楽しんでいるのがうれしいから」なのかなあと思います。じゃあ、「なんでみんなが楽しんでいるのをみるのが好きなのか?」と考えると、それは実は「みんなが楽しんでいるのをみることが好き」というのよりもむしろ、「自分と一緒にいると楽しいと思われたい」という心の奥の欲求がみえてきます。これを突き詰めていくと、「田中伶」という人間は、普通の人とはちょっと違うと思われたい、究極的には『なんかちょっと変わってると思われたい』というようになる。ここまで掘ると、「なんて自分勝手なんだ自分!」とか思うのですけどね(笑)。」

田中「そうですね(笑)」

田中伶「幼少時代の体験がどうかかわっているかというと、それを話すためには私が「転勤族」だったことを話さなくてはなりません。私の家庭は小さいころから転勤ばかりで年少、年中、年長全部幼稚園が違ったんですね。常に「転校生」でした。転校生というのは、ただでさえ目立って「ねらわれる」対象なので、そのときはできるだけ「普通」の子どもでいたいと思っていました。中学生になって関東から関西に引っ越した時も同じでした。一番多感なときですから、関東出身の私は標準語でしゃべっているだけで「調子のってる」とかいわれましたからね。(笑)振り返ればいろいろ辛い想いをしました。今となっては笑い話なのかも知れませんが……。」

田中「すみません、思い出させてしまい。」

田中伶「いえ。でも、高校に入ってから状況が逆転したんです。初めて、「自分と一緒の価値観をもった集団」に入れました。10数年間周りとなじめずにいましたから、もう居心地が全く違いました……。私が人と少し違う考えや意見、価値観をもっていることを「個性」として認めてくれるような環境が、そこにはありました。
そこで、私の中の何かが爆発したんですよね(笑)。人と違くてもいいんだっていう安堵感というか、うれしさというか。やっと「自分」を認めてもらえた気がしました。そうして、気付けば「他の人と違うこと」を積極的にするようになっていたんです。」

田中「そうだったのですね。大切なお話をありがとうございます。自分の向き合いたくないようなマイナスなこととも向き合うことで根底の「自分」が見えてくることがあるということですね。」

田中伶「ちなみに、そういった自分の「弱さ」というのは、すごく武器になる「強み」でもあると思っています。例えば私は毎日8時にブログを更新し続けているのですが、それをはじめたきっかけは自分の「自信がない」という「弱み」からでした。」

田中「そうなんですか? 毎日あの量のブログを更新し続けるのは大変でしょうね。」

田中伶「正直に言えば、自分に自信がなかったんです。私が起業した当初はご年配方に「就職したこともないくせに」とか「よくわからないことやってるね」とかいろいろ叩かれましたから。「毎日やる」「人間一番むずかしい“継続する”」ということをすることで、最悪、内容の善し悪しはおいておいても(笑)、最低限、続けているというその「事実」で評価していただけるわけですから。それでブログを毎日更新することを始めたんです。」

田中「今ではBLOGOSのブロガーでもありますよね。」

田中伶「はい。おかげさまで少しずつ読者も増えて、今年はBLOGOSのブロガーアワードで新人賞にノミネートされるまでになりました。ブログを始めた頃は想像もできなかったような出来事です。」

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弱さと向き合う最大の秘訣は「自分を愛する」ということ

田中「弱さと向き合う大切さということはすごく分かりました。しかし、僕も含めてそうなのですが、「自分の苦手なところ」とか「隠したいところ」というのは向き合いにくいというのが「人間」だと思うんですよ。考えようとしても「無意識のストップ」がかかっちゃうじゃないですか。それはどうすれば良いのですか。」

田中伶「うーん。実は、それはどうしようもないんです。だから、自己分析って究極、自分でやってもあんまり意味がないんですよね。」

田中「そうなんですか?」

田中伶「結局自分の価値を決めるのも自分ではないんです。そう考えると、自分で「私はこうだからこうです」と語ることって、実はうすっぺらくって表面的。ですから、自分を知る為の一番良い形は、「自分にしかわからない事実」は自分で思い出し、それをもとに人と一緒に「なんでその行動をとったの?」とほっていく。あとは、第3者が整理してあげれば良いんです。」

田中「そういう意味では、第3者である伶さんなどがマンツーマンで学生と向き合い自己分析をしてくれる「マジコウ」は良い経験ですね。」

田中伶「そうなんです。」

田中「とはいえ、そういったサポートを受けられない人もいるわけですから、このテーマの最後に一つお聴きします。そうやって「向き合いたくない自分に向き合う」学生のためにメッセージをいただけますか」

田中伶「「自分を大切に思えるか?」ということかもしれませんね。ちょっと抽象的ですみませんが。嫌なことと向き合ってまで自分を掘って考えるということは、結構な忍耐力と思考力がいるんですよ。やってみればわかりますが。私は自分と向き合うために丸2日間家にこもって考えたりしました。過去の嫌な経験を思い出して向き合うことは易しくはなかったです。だから、そういう「辛さ」に耐え抜けるだけ「自分のことを愛せるか?大切に思えるか?」ということが肝になってくる。せっかく生まれてきたわけだから、愛してあげないともったいないですし、「自分」というものを考えるにあたって、この心はなくてはならないものだと思います。
それだけではありません。自分を愛してあげるということは、これからみなさんが困難に突き当たったときも、きっと自分を守ってくれる大事な感情だと思いますしね。本当の努力というのは、やりたいことだけを追い続けるのではなく、やりたいことのために、やらないことにもぶつかる、ということだと思っていますから。」

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(写真撮影: 深澤匠)

(記事作成:田中嘉   記事編集: 田中嘉 )

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