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ミドリムシで話題のユーグレナの開発部長鈴木健吾さんインタビュー

「学生時代に自分の"強み"を育てることがなぜ必要か」

記事作成: 鳥越幹大   記事編集: 田中嘉 | Innovation |2013.08.21

“ミドリムシ”を知っているだろうか? 髪の毛よりも小さいこの微生物は、多くの栄養素を含んだ健康食材として、また、二酸化炭素排出の少ないエコな燃料源として、近年注目を集めている。そのミドリムシの研究に日夜取り組んでいるのが、今回お話を伺った鈴木健吾さんだ。鈴木さんは自身のことを「ミドリムシを一番産業利用している人間」と表現する、ミドリムシのスペシャリストである。 一生ミドリムシと関わっていきたいと語る鈴木さんの表情には、ひとつのものを極めたことへの誇りと充実感がうかがえた。 しかし今、自分の強みをここまできちんと表現できる人はどれほどいるのだろう? このインタビューには、軸のぶれないスペシャリティを磨くためのヒントがたくさん含まれている。これを読んで、自分にしかない特別な価値を考えるきっかけにしてほしい。 あなたのスペシャリティは何ですか?

株式会社ユーグレナ取締役研究開発部長

鈴木 健吾(すずき けんご)

株式会社ユーグレナ取締役研究開発部長。東京大学在学時代からミドリムシの研究を行う。現ユーグレナ代表取締役社長の出雲氏とは学生時代に出会い、「食料問題」と「環境問題」の両方を解決できるポテンシャルを秘めたミドリムシの可能性に魅了される。2005年8月に福本氏を含めた三人で株式会社ユーグレナを設立、同年12月にはミドリムシの屋外大量培養に成功。本店のある東京と技術研究所のある石垣島との往復で、肌が良い色に焼けている。

学生インタビュアー

鳥越 幹大(とりごえ みきひろ)

東京大学教育学部在学中。1991年生まれ。東京都出身。トモノカイgi人材プロジェクトインタビュアー。高校時代1人の女の子に告白し振られ続けた経験から「人って何考えてるかわかんない!」と発狂。人間についてもって知りたいという思いから、「話を聞く」ことに対して興味を抱くようになる。本インタビューの事前調査でミドリムシ製品を食べ比べたが、個人的にはラーメンがオススメ。

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◆行ったことのない場所を無くしたい!という感覚

「鈴木さんご自身はどのような学生でしたか?」

鈴木「好奇心がとても高かったように思います。また、社会に対して自分の価値をどう提示していくか考えて色々なトライ&エラーをしてきました。社会はどう回っているかということに関心を持ち、大学1年の時には株式の投資コンテストに出場しました。他の大学は投資サークルが多く出ている中、そういったところに所属していないメンバーで臨み優勝をすることが出来ました。学術的知見を惜しみなく取り込み、ただ自分の中に溜めこんでしまうだけでなく、世の中で本当に戦えるのかを確かめるためにアウトプットしようとする姿勢を持っていたように思います。」

「そういった姿勢を持たれていたのはなぜでしょう?」

鈴木「根っこが研究者なのだと思います。自分が考えた仮説を検証してみたいという気持ちが強くあります。思った通りになったら、自分の仮説や知識がうまく機能しているということで自信になるし、もし違う結果だったら、なぜ違ったのか検証するいい機会が与えられたということ。とにかく色々な物事を知ることを強く志向してきました。行ったことのない場所が無いようにしたいといった感覚に近いかもしれません。学生時代は新しいことを知り勉強できるチャンスをとても大事にしていました。」

鈴木2

◆自分の理想像から逆算したアプローチをしてみる

「なるほど。では、そういった学生時代を経て、ミドリムシの研究をしようと思われたのはなぜですか?」

鈴木「もともと世の中に役に立つことを出来ればという漠然としたイメージがありましたが、自分にあった研究テーマを探す中で、ひときわ目を引く緑色の液体と出会いました。それがミドリムシです。1990年代には、地球温暖化と食料問題の両方を解決出来るものとしてミドリムシが紹介されていました。高濃度の二酸化炭素をミドリムシが吸収し、光合成により酸素を輩出する。さらにはご飯としても食べることが出来る。生物を用いた環境問題の解決策として興味深く、生物としても面白い。研究テーマに事欠かないという意味で、一生の仕事にしてもいいのではないかと思い、ミドリムシの研究を始めました。」

「ここまでお話を伺って、鈴木さんはとても活動的な方なのだなという印象を受けました。現在、学生の内向き志向といったことがよく言われていますが、そういったことを打ち破るために必要なことはどういったものなのでしょうか?」

鈴木「『自分の理想とは何か?』を考えることが大切だと思います。自分が30代、40代、50代になった時にどのような人間になりたいのかを考えると、自ずとそれに必要なアプローチが見えてくるのではないでしょうか。」

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◆軸のぶれないスペシャリティを構築しよう

「その理想とは、鈴木さんの場合はミドリムシの研究をやり続けるということですか?」

鈴木「会社経営の面からの視点も入れながら考えると、今はミドリムシを育て続ければ環境にも良いサイクルが生まれて人の心は満たされる、という仮説を自分の中で持っていますが、それを否定する事実が出てきたら、ミドリムシに関してはあきらめるという可能性も出てくると思います。ミドリムシよりも自分が目指す効用を効率よく目指せる、という話が自分の中で理解出来たタイミングで、頭の中のイメージを再構築することもあるでしょう。」

「やはり、個人としての立場と組織としての立場は違いますよね」

鈴木「そうですね。しかし、自分の強みは、世の中でミドリムシのことを一番知っている人間でありたい、という想いにあります。そこは大事にしていきたいですし、たとえ趣味になってしまったとしても、ミドリムシとは関わり続けていきたいと思います。」

「そのようにずっとやり続けていたいと思えるものを見つけるためにはどうしたらいいのでしょうか?」

鈴木「何が自分にとって他の人に対して優位性があるのかを確認することが大事だと思います。自分の場合、自己紹介では『ミドリムシを一番産業利用している人間です』と答えているんですが、それは、その分野では世界で一番ということですよね。逆に、『世界で一番カッコいい人間になります』といったことは、軸がぶれていてスペシャリティもありません。」

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◆日本で二番目に高い山は…?

「なるほど。では、軸がぶれていないスペシャリティを構築するためにはどういったことが必要なのでしょうか?」

鈴木「ドメインをある程度限定してあげた上で自分のスペシャリティは何かを考えることが大切だと思います。例えば『大学で一番の成績を取ります』というのはかなり難しいことですし、勉強がスペシャリティということになりますよね。皆が目指すべきだとは思いませんが、一番の人は誇るべきです。そういったことはどんな組織単位においても実現できると思います。『挨拶の声が一番大きい人』などがいい例です。客観的な物差しで自分のスペシャリティを構築していくこと。そうすると、一番の人のところにはいろいろなチャンスが与えられます。これは、社長の出雲がよく話すことなんですが、日本で一番高い山はどこしょう?」

「富士山です。」

鈴木「そうですよね。では、二番目は」

「…えーっと」

鈴木「北岳という山なんですが、やはり一番と二番の差というのは大きいでしょ。一番になるために必要なことは何か、どう努力していくか意識することが大切なんです。」

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◆スペシャリティはチャンスをもたらす

「面白い例えですね」

鈴木「はい。トランプの大富豪に例えても分かりやすいかもしれません。ジョーカーを持っていると、どんなに他がだめなカードでも1枚出すと次も必ず自分の番になる。つまり、発言のチャンスや活躍の機会が与えられる。活かすも殺すもという部分はありますが、チャンスを与えられるということが大事なんです。与えられたチャンスの中でも選りすぐって活躍したいものを選んでいくとスペシャリティが生まれる。自分なりのスペシャリティがあり、さらに知識を得たいと望んでいれば、その世界の一流と言われる人と交流する機会が与えられ、そこからアイデアも生まれる。そうすれば、自分ひとりだけで根詰めてやるよりも、情報収集の場や実践の場が与えられる。頭の中も整理され、モチベーションにもつながる。そういった流れになっています。」

「具体的にスペシャリティを磨くためにやるべきことはありますか?」

鈴木「皆さんにはそれぞれ『こうありたい!』というイメージがあると思います。やりたいことや成りたい自分を紙に書いてみて、そのために必要なことは何かを考えていくと、たどるべき道が分かってくるのではないでしょうか。あとは、欲求に対して忠実でいてください。」

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◆若さを活かしながら、なりたい自分を確認していこう

「『欲求に対して忠実でいる』とはどういうことでしょうか?」

鈴木「自分のやりたいことや、なりたい姿を長期的な目で捉えるということです。短絡的なことばかりに流されず、自分の欲求を満たすために必要なアクションはなんなのか頭で噛み砕いて考えると、一般的に苦労といわれるものも苦労でなくなると思います。甲子園で優勝しようと思っている人は、練習が辛いとそこまで思ってないはずですよね。そのように、自分の理想をきちんと確認をしていく作業が重要です。」

「どうもありがとうございました!では最後に、学生に向けてメッセージをお願いします。」

鈴木「若い人には無限の可能性が秘められています。“若い”ということを大事にして学生生活を送ってもらえればと思います。一緒に世の中で働けることを楽しみにしています!」

◆編集後記

自分の強みが分からない、学生時代に育てられない人は非常に多いと思う。しかし、強みを育てるためには思考するだけでなく実際にアクションを起こさなければならないと日々痛感する。今の自分に不安を感じている人は、是非小さなことでも良いからまずはアクションを起こしてほしい。このwebサイトには、アクションを起こしたくなった人のために優良なイベントやプログラムを掲載している。記事を読んで自分なりに何か感じた人は、是非イベント一覧から自分に最適なプログラムを見つけて欲しい。

(記事作成:鳥越幹大   記事編集: 田中嘉 )

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