記事であなたの可能性が広がる ~学生のための記事・イベント配信サイト~

ロボットベンチャー・ユカイ工学代表 青木俊介さんインタビュー

グローバル化時代に持つべき“反骨心”とは?

記事作成: 鳥越幹大   記事編集: 田中嘉 | Innovation |2013.10.23

ファッションやグルメから人気の就職先に至るまで、世の中には数多くの“流行”が存在する。流行に乗ること、すなわち、周囲と同じ方向を向くことは、置いてけぼりを食らう心配もない安心安全な生き方なのかもしれない。しかし、よく考えてみてほしい。そのように流れに乗るだけの生き方は、本当に自分の意志で選んだものだと自信を持って言えるだろうか? 今回お話を伺ったのは、ユニークなロボット作りに日々励んでいるユカイ工学の青木俊介さんだ。青木さんが開発するロボットは、私たちが普段想像するような「いわゆるロボット」とは大きく異なっている。それらを生み出した背景には、周りと同じことはしないという反骨心と、新たな価値を生み出すためにあえて周囲と違う方向を向く勇気が秘められていた。 グローバル化が進む今日、世界は流行に振り回されない自分自身の生き方ができる人材を求めている。 どうかこの文章を、あなたにしか出来ない人生を送るための指針にしてほしい。

ロボットベンチャー・ユカイ工学代表

青木 俊介(あおき しゅんすけ)

1978年生まれ。ロボットベンチャー・ユカイ工学代表。東京大学在学中より、web製作会社やITシステム系企業に勤務。2000年に大学のクラスメイトと「チームラボ」を設立し、CTOとして開発に携わる。中国・東華大学への留学の後、イラストコミュニケーションサービス「ピクシブ」のCTOに就任。現在はユカイ工学代表として、目玉おやじロボットやココナッチなど、ユカイなロボットの研究開発に日夜取り組んでいる。

学生インタビュアー

鳥越 幹大(とりごえ みきひろ)

1991年生まれ。東京大学教育学部在学中。株式会社トモノカイgi人材プロジェクトのインタビュアー。高校時代1人の女の子に告白し振られ続けた経験から「人って何考えてるかわかんない!」と発狂。人間についてもって知りたいという思いから、「話を聞く」ことに対して興味を抱くようになる。ユカイ工学製品・Necomimiが似合う素敵な女性に巡り合いたい。

これは「ロボット」?

−今日はよろしくおねがいします。さっそくですが、ユカイ工学さんが作っているロボットについて教えて下さい。拝見すると、これらのロボットは「いわゆるメカっぽいロボット」とはかなり違っていて、とても可愛いですよね。

青木「はい。“可愛さ”はロボットにとって重要な要素だと思います。」

−あ、これは狙ってるんですか?

青木「そうです、狙っています。なぜロボットに可愛さを求めるのかわかりますか? みなさん「ロボット」というと、どうしてもラジコンヘリのようなメカメカしい世界をイメージしてしまいがちです。しかしラジコンヘリって、いってしまえばただのおもちゃじゃないですか。もちろんそこには素敵なロマンはあるのですが。

私たちが考えるロボットはラジコンヘリのような、今までロボットと思われてきたものとは大きく違います。日常的に共にすごせるようなロボット。そういう共存型ロボットを考案しています。

日々一緒にすごすことが可能になるロボットはどうあるべきか。私たちはこれについて日々考え、女性にも使ってもらえるようなデザインのものを作るようになりました。日常の生活空間で使ってもらおうと思ったら、女性に支持されることが重要なんです。」

−なるほど。

青木1

流行には乗らない!

−女性をターゲットにしていることや可愛らしいデザインをしているということは、僕たちが持っていた既存のイメージとはかなり異なっていていますよね。そのように発想を転換させて新しいものを生み出していくのにはどういったことが必要なのでしょうか?

青木「これはよく学生にありがちな思考だと思うのですが、みな、今の瞬間に流行っていることをやりたがる傾向があると思います。例えば僕が学生の頃は、外資系コンサル企業だったり、金融工学みたいなものがとてももてはやされていました。だからみなその分野を注目していました。ただ、私はこういうところ(みなが注目するところ)に大きなイノベーションは無いと思っています。

新しいものというのは、誰もやりたがらないところにある。競争相手が少ないところでしか生まれないんです。誰もやりたがらないから競争相手も少ないし、ひとりでいろんな成果も出すことが出来ます。みんながやりたがらない方向を向くことが重要なのではないでしょうか。」

−けれど、周りと違う方向を向くのって、ものすごく勇気のいることじゃないですか?

青木「そうですね、もちろん相当な勇気がいりますよ。だって、みんなと同じことをやっていれば不安も少ないし、批判されることもありませんから。けれど、やっぱり『同じことはやらない!』という反骨心みたいなものがあるんですよね。」

周りと異なる方向を向く勇気と反骨心

−そのような意味では、自分で会社を興されたことも、周りと同じことはやらないという気持ちが影響しているのですか?

青木「うーん、もしかしたらそうかもしれませんね。僕が最初の会社であるチームラボを立ち上げたのは、ちょうどインターネットバブルがはじけた時代だったんですよ。よく「不況のときに作った会社はうまくいく」などと言われたりもするのですが、私は、インターネットのブームが来て、その波が去ったあとで、みんながあまりやりたがらなかった起業という選択をしたという感じです。」

−なるほど。起業の経緯を、もう少し詳しく教えていただけますか?

青木「大学2年生の頃からプログラミングやウェブデザインのアルバイトをしていたんです。その時に、自分が仕事で作ったウェブサイトが電車の吊り広告になっているのを見て、社会で働くのは面白いなと感じました。その後、大学のクラス分けがあり、その時に同じクラスになった友人の影響でベンチャーをやってみようという気持ちになっていきました。」

青木2

社会が変わるワクワク感に触れて

−学生時代から起業するのって、当時としては珍しいことですよね?

青木「そうですね。今でこそ起業というものが大学からも推奨される雰囲気になりつつありますが、当時はそのような雰囲気は無かったです。もともと僕は、高校の頃から行きたかった研究室があったんです。だから本来はそこでロボットとか人工知能を作りたかった。

ただ、会社を立ち上げたい友人がいたんですよね。毎日のように、「インターネットで新しいものを作るラボを作ろう!」と誘われました。今考えると、良い意味でその言葉にダマされましたね。理系の学生は「研究」という言葉の響きに弱いですから。そういう経緯で、チームラボ、という会社名をつけました(笑)。

そういった流れで会社を立ち上げて、メンバーの一人の家を勝手にオフィスにして、みんなで集まってあーでもないこーでもないとアイデアを考えたり、既に起業していた友人もいたので、そこの会社に泊まりこみで修行しにいったりしていました。大学には最低限しか行かなかったですが、インターネットで社会が大きく変わるワクワク感がものすごくあったので、大学どころではありませんでした。」

−なるほど。そこから業績も軌道に乗っていかれるわけですが、途中で会社を辞めて中国へ留学に行かれたのはどうしてだったのですか?

青木「新しいことがしたくなったからです。新しい場所で、新しい知識を吸収しようという気持ちが強かった。あと、当時はシリコンバレーがもてはやされていて、Googleのオフィスなんかも頻繁に紹介されたりしていたので、『シリコンバレーにだけは行きたくない』という反骨心みたいなものもありました。他の人と同じことをしても面白く無いですし、先に行っている人たちには勝てませんからね。

そんな理由もあり、技術者で中国へ行く人は少なかったので、研究環境もあまり良くはなかったですが、あえて中国にいってみることにしました。結果としては、その当時にできた人のつながりや中国語のスキルが、現在のものづくりの仕事に役立っていると思います。」

「あなたのもとへ会いに来た」というグローバル化のカタチ

−そういった海外経験をお持ちの青木さんからみて、グローバル化が進んでいくこれからの世の中で必要だと思う要素はありますか?

青木「うーん、今は世界的なSNSとかもあるし、海外の友達だってすぐに出来る。単純に海外の人と触れ合う機会はいくらでも作れるので、海外慣れはしておいた方が良いと思います。海外の女の子を口説いてみるとか(笑)。英語が話せるかどうかとも違うけど、海外に対して変な偏見を持ってしまったり、逆にコンプレスックスを持ってしまったりするから。たとえば、よく新聞に「海外と比べて日本は…」みたいな雑な議論が載っていたりしますが、あれは大体海外に出たことがない人が書いている。実際現地に住んでみれば、「海外」とか「欧米」とかひとくくりにして言えることなどほとんどないことがわかると思います。ただ、グローバル化とはいっても、海外の人といろんなこと議論したり出来るようになるのは、日本である程度成果がでてからなんじゃないかなぁ。」

−それは面白い視点ですね。

青木「一番のグローバル化って、『海外からわざわざ日本のあなたのところへ会いに行きたい!』って思わせることですからね。つまりグローバルに世界を見渡した中で、自分という存在が「必要とされる存在」になること。だから、まずは日本で成果を残すことが大事だと思います。そんなにあせらなくても、日本でちゃんと頑張っていれば、人は向こうから勝手にやってきますから。身近な人にありがたがられる存在になることの方が大事ですよ。」

カッコ悪いことをして、新たな価値を生み出そう!

−ありがとうございました。では最後に、学生に向けてメッセージをお願いします

青木「とりあえず、流行っていることは信用しない方が良いと思います。今の瞬間にカッコイイとされているものは、すでに進化が止まっていたり、ピークを過ぎているものの場合が多いですから。そういうところでイノベーションは起こりません。それよりも、カッコ悪いとされているものにこそチャンスがあるのではないでしょうか。そういうところから新しいものが生まれてくると思います。」

(記事作成:鳥越幹大   記事編集: 田中嘉 )

「いいね!」で、最近の情報をチェック!