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日本のトップマーケッターが語る~革命前夜に生きる若者たちへ~

経営コンサルタント・作家:神田昌典さん

記事作成: 松村莉奈   記事編集: 松村 莉奈 | Innovation |2013.11.06

歴史は繰り返す、という。過去に起こった「革命」は、未来に起こる「革命の予言」であるのかもしれない。著書『2022-これから10年活躍できる人の条件』で独自の歴史サイクル観を元に、若者へのメッセージを送った神田昌典氏。これからの時代を創る人となるための条件とは、世界を変える力とは何か?

経営コンサルタント・作家

神田昌典(かんだ まさのり)

経営コンサルタント・作家。 日本最大級の読書会『リード・フォー・アクション』主宰。
上智大学外国語学部卒。ニューヨーク大学経済学修士、ペンシルバニア大学ウォートンスクール経営学修士。 大学3年次に外交官試験合格、4年次より外務省経済部に勤務。戦略コンサルティング会社、米国家電メーカーの日本代表として活躍後、1998年、経営コンサルタントとして独立。2007年、総合誌で“日本のトップマーケター”に選出。現在、ビジネス分野のみならず、教育界でも精力的な活動を行っている。公益社団法人・学び力育成協会の創設に関わったほか、現在は、公益財団法人・日本生涯教育協議会の理事を務める。
≪著書≫ 『60分間企業ダントツ化プロジェクト』『2022 ― これから10年活躍できる人の条件』、翻訳書に、『あなたもいままでの10倍早く本が読める』(ポール・シーリィ著)、『ザ・マインドマップ』(トニー・ブザン著)、『バブル再来』(ハリー・S・デント著)をはじめ、累計出版部数は250万部を超える。

インタビュアー

松村 莉奈(まつむら りな)

学習院大学法学部政治学科在学中。人の目をみて話せないというコンプレックスから、大学ではアナウンスを日々練習。言葉を聞くことも話すことも考えることも好き。 情報を発信するラジオDJ、学生キャスターなどの経験に加え、人のアイデアを聴いて共有するインタビューに挑戦中。「向き不向きより、前向き」の気持ちを大事にしています。

変容型のリーダーとなるために

―神田先生のお書きになった『2022-これから10年活躍できる人の条件』を読ませていただきまして、率直に同年代の高校生・大学生に読んでほしいと思いました。読み終わって「私たちのような若い世代が次の時代を創るのだ」いう意識がとても強くなったのですが、過去の時代を創り上げたリーダーにはどのような人がいたのでしょうか?

神田:例えばソニーを創った井深さん、盛田さんは、戦後がれきに跪いて悲しむ人たちの中にあって、新しい世界をすでに夢見ていました。「変容型リーダー」というのはそういう感覚を持つ人のことを言うのだと思います。
そしてそれは極めて少数派です。周りから、「何バカを言っているの」と言われる人たちなのです。これは学校教育の中で教えられているわけではありません。革命がおこる前夜の話、江戸時代にあって明治時代のヴィジョンを語ったらどうですか?笑われてしまいますよね。

―ではその「変容型リーダー」となるためには、私たち若者はどのようなことをしていけばよいと思いますか?

神田:あまり難しいことを考えずに…海外に、いってください!!(笑)
みなさんは私の息子とほとんど同じ年齢なのですが、単純にこうアドバイスしたいですね。バイトもいいけれども、少ない予算でいいから海外の学生とかかわる機会を持ってほしい。それがないと、『ベース』が作れないのですよ。

―『ベース』というものは具体的に言うとどのようなものなのでしょうか?

神田:“異質なものと協同することへの耐性”みたいなものでしょうか。日本は島国で歴史上、同質であることを好む空気があると思います。その空気というものは、残念ながら全世界の潮流の中で守り続けることが難しい。そこから何も考えずに飛び出して、自分たちの同質意識が通用しない相手と、なにかを成し遂げる体験をすることで生まれる意識が非常に重要だと思っています。

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『日本』の感覚、『世界』の感覚

―神田先生は、実際に異文化の中で学ぶといった体験をなさったのでしょうか?

神田:僕は21歳の頃からNYにいってアメリカの文化の中で教育を受けました。今49歳になって感じるのは、多国籍の人の中で議論をした経験があるかないかで物事のとらえ方が大きく違うということです。グローバルの流れの中で「外国の人…ちょっと苦手です」となるか「外国の人と話し合うなんて、そんなの当たり前ですよね」となるか。そこには雲泥の差があると思います。

―ちなみに、海外に行くなら、地域はどこでもいいとお考えですか?

神田:そうですね、人によって興味は違いますからね。でも自分の息子に言うならアメリカがいいんじゃないかというと思います。
なぜかというと、まず世界の共通語として英語の価値はゆるぎないと思うからです。
それから、成長期にある東南アジアとビジネスをしていくとして、その東南アジアのトップ人材はイギリスかアメリカに留学して英語を勉強しているわけです。そうすると留学校での同窓会が開かれたときに、自分もそのメンバーにいることで、自然と世界中のトップの人材とつながることができることになります。

―そんなご自身が体験したアメリカと日本の大学の違いというものは具体的にどんなものなのでしょう?

神田:日本ではサークル・バイトの話が中心となるキャンパス生活かもしれませんが、アメリカの大学では、将来自分がどのようにしてビジネスをしていくかについて明確に語ることのできる集団の中で生活することになります。

たとえば、僕の学生時代にいた友達で、自分の学費を稼ぐためにヘリコプターの会社を立ち上げていた人がいましたね。そしてそれを売却してお金を出していたんです。

―そのような話…日本では聞いたことがないですね。

神田:そうですね。他にも例を挙げると…まだ写真の共有が難しかった時代に、地元のカメラショップを売却して、大学生に一人ずつあてがわれている郵便箱のようなボックスに依頼のあった写真を現像して入れるというビジネスを考え付いた人もいました。自分の学費をそれで賄うだけでなく、そのビジネスを大きくして後輩に売却するというしくみも作っていましたね。そういう人たちがあふれている環境で生活しているかいないかというのは、感覚的に全く違うものになるはずです。

「未だ」「来ない」時代に生きるということ

―未来のことについて神田先生の考えていらっしゃることを伺いたいと思います。日本で将来のソニーを生み出すような業界はどのようなものがあるとお考えでしょうか?

神田:エネルギーや医療産業なのではないか、とは思っています。人口が減少するなかで需要が拡大し、高齢化する世界の筆頭となって日本が取り組むべき問題ではないでしょうか。
本当に未来のことはわからない部分がたくさんある。たとえばレイ・カーツェルという研究者によると、2033年には人間の思考を完全にロボットがシミュレーションできる世界がやってくるといいます。

―まるでSF小説のようですね。

神田:今はネズミ大の脳のシミュレーションならコンピュータが完全にできますが、人間大はまだできていません。ですが、それができるようになってしまうと、コンピュータの力で医学界が激変し、病気のない世界が生まれてくるかもしれない。人間とコンピュータが融合して進化していくのではないか。そういう可能性もでてきますね。あくまで理論上という話ですが、本当にそれは未知の世界なんです。

―そこまで変化してしまうとなると、今から予想して準備するということは限りなく難しいということでしょうか?

神田:この話を踏まえて一つ言えることは、
「今の世の中がずっと続くはずがない」ということです。
就職ランキングの上位会社に就職したから安泰という世界はとうに終わっています。今の社会から見れば落ちこぼれに見えてしまっても、次の時代の創設者になるかもしれない。逆に今の社会で優等生と言われる人より、今の時代に適応できない人のほうが未来では活躍できるかもしれないということです。

正解が、わからなくてもいいのだ

―そのような、なにが正解かわからない時代にあって、大切なことはなんだとお考えですか?

神田:「何のために」という思いを明確に持つことです。私は就活ランキングを否定しているわけではありません。「何のために」その会社に入るのか、「何のために」に働くのか、それを大学生の時に考えるということは大切だと思います。

―その「何のために働くのか」が見つからない人はどうしたらいいのでしょうか

神田:それで、全然かまわないと思います。わからないなら、もがいて考えてみる。その結果「自分が成長するために、優秀な人と働きたい!」と思えば、ハーバードやスタンフォード大学にいった方がいいですね。日本で言うなら大企業に入って、優秀な人のもとで働いてみるというのも一つの選択でしょう。歳をとってからだと我慢ができなくなるから、人のもとで働くというのは難しくなっていきます。(笑)若いうちに人のもとで働くとはどういうことなのか学んでおくのもいい体験だと思います。

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「すごい人たち」の姿を、自分に刻め

―では、神田先生はどうして最初に外務省に入ろうと思われたのですか?

神田:なんのために働くのかわからなかったからです。外務省には二年間の海外研修プログラムがありますし、なにをしたいのかわからないけど、外務省に入ってからそれを見つけようと思いました。

―外務省での体験はどのような影響をご自分に及ぼしたとお考えですか?

神田:外務省に入った1986年、私は「東京サミット」の現場に立つことができました。レーガン、サッチャー、ミッテラン。このような時代を動かしていた方たちや、昭和天皇、ソニー創設者の盛田昭夫さんのような国を支える人たちと同じ空気を吸うことができました。これは、本当に自分の人生に大きな変化をもたらしたと私は思います。

当時、新人の私の上司は佐々江主席事務次官(現駐米大使)でした。電話の取り方ひとつとっても、佐々江さんから学ぶことは沢山あり、上司として尊敬できる人と一瞬に時間を共にすることができた経験は代えがたいと思います。それはどんなに短い時間でもいいのです。共に過ごしたことで感覚的に、自分に刻まれるものがありますから。

 

自分の「欲」を正面から見つめろ

―大きく時代が動こうとしている中で、自分が新しい時代において行かれないようにするには、どのような意識が必要だと思われますか?

神田:表現が難しいのですが、結局は「欲」だと思うのです。自分がどのような欲をもっているのかどうか、自分に正直になるということが大切なのだと思います。
戦後、本田さんや井深さんが、瓦礫の中から立ち上がって、みんなを引っ張っていきましたよね。そういう人はほんの一握りでいいのです。
でもそのほかの人が落ちぶれたかというと、そうではなく、みんな努力してきたんです。時代について行かなかったから落ちぶれているなんて言えません。
つまりはリーダーシップを発揮したいのかどうか、それを自分の責務だと思えるかどうかの違いなのだと思います。そう思う人たちが『変態」なんです。スティーブジョブズが何人もいたら世界は回っていかないのだと思います。彼らは彼らの生き方で生きていて、そうとしか生きられないのですね。

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生涯を変える「一瞬」

―そうとしか生きられない人たちは、そうでない人たちと何が違うのでしょうか?

神田:その人たちは『人生を変える一瞬」を見てしまったのだと思います。自分が自分であるために『強烈な体験」をしているはずなのです。たとえばスティーブジョブズの場合は、養子で学費も払えないという幼少期があった。そこから企業家精神に火がついているのだと思います。
つまりリーダーとは、負の体験を背負った人であることが多いのではないでしょうか

―現代に生きる若者が、そのような負の体験を背負うということは、どのような状況にだと思われますか?

神田:世界を見て回って、貧困や格差の問題を自分の目で見るということは、こうした強烈な負の体験を背負うことになると思います。日本人として生まれて、何をしなければいけないのか突きつけられるのですね。知ってしまったから、見て見ぬふりはできない。子供たちがごみの山で働く現場を見て、なにかをしなければいけない、そう思うところから行動につながるのだと思います。
そのような内から湧き上がってくる衝動に正直になれたら、時代を作るのだという大きなエンジンになるはずです。
日本でいえば時代に敏感な人たちは、震災後被災地に行ったでしょう。そこで自分に何ができるのかを身を以て考えることができる。その衝動に身を任せて行動に移せるかどうかは、大きな差があるのだと思います。つらい体験を経た人は強い、これは事実そうなのだと思います。

革命前夜に生きる若者たちへ

―先生から見て、今の若い人たちはどう映っているのでしょうか?

神田:今、こうしてこの記事を読んでいるみなさんというのは、言ってみれば明治維新で夜が明ける前の若者と同じなのかもしれないと思います。次に大きく時代が変わる世代にあって自分に何ができるか考えているわけですね。
私はIT革命と言われた時代が終わって、2015年あたりからその革命の次の世代に移って、生活環境も大きく変わると思っています。その時に1400万人くらいいる20、30代の人たちがその時代を担っていくことになるのですが、10代後半の若い人たちはまだ力を発揮できないかもしれません。今はまだ何が起こるかを見つめ、準備をしている段階なのです。
こちらからの質問になるのですが、みなさんどうですか?大学で次の時代がどうなるかとか、真剣に話せる人はいますか?

―えぇと…。あまり思い浮かばないですね。

神田:そうなのでしょうね。きっと学校でよく聞いたり話したりするのが、サークルやバイトの話。生活がその中で完結している人も多いかもしれません。でも次の世代のリーダーとなるような人はその先を見ているのです、それはいつの時代であっても変わらないですね。
自分の内から湧き上がる衝動を感じて、正直に向き合うことで時代を作るのは今の10代の人たちです。解決できないと言われている国家間の問題だって、解決できるかもしれません。その可能性を信じてほしいと思います。

(写真撮影:品田純也)

 

(記事作成:松村莉奈   記事編集: 松村 莉奈 )

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