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タヌキに学ぶイノベーション!? ―「葉っぱ」を使った現代型化け学ビジネス―

記事作成: 伊藤 有理奈   記事編集: 田中嘉 | Innovation |2014.01.22

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葉っぱといえばタヌキ?それともキツネ?

みなさんは、葉っぱを使ったビジネスなるものが本当に存在していることをご存知でしょうか?
「葉っぱで商売ができるって!? 新手の詐欺じゃないの!?」
大半の人はこう言って、タヌキに化かされたみたいな笑い話で一蹴してしまうものですよね。それに日本では、タヌキやキツネは人を化かすと古来より言い伝えられてきたことでもあります。中でもタヌキは、「狐七化け、狸八化け」といって、キツネより化け方が上手いとされ、それはキツネが人を誘惑するために化けるのに対し、タヌキは人をバカにする(バカす)ために化けるからだ、と言われてきました。日本の昔話を題材にした漫画やアニメでも、妖美な女の人に化けたタヌキから受け取ったお金が、寝て起きると葉っぱに変わっていた、なんて逸話があったのを私もなんとなく覚えていたりします。

でも逆に、本当にただの葉っぱが本物のお金に化けてしまったとしたら…。
そんな都合のいい話、聞いたことなんか…。
それがあるのです!!
拾い集めた葉っぱをお金に変えた、現代タヌキさん達のイノベーション。
それが、「葉っぱビジネス」なのです。
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出典:NAVERまとめ

「葉っぱ」でビジネス

見るものである葉っぱをビジネスに使うとはどういうことなのか、疑問に思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、この葉っぱを使ったビジネスは本当に存在し、高齢者比率約50%、総面積の90%が山林である徳島県の上勝町で行われています。葉っぱの使用目的は「つまもの」。つまり、日本料理を彩る季節の葉や花などを、料亭や旅館に対して販売するビジネスなのです。現在この「つまもの」は、全部で約320種類ものアイテムが栽培され、四国内部だけでなく関東地方や北海道にも出荷されているため、全国シェアは約8割、年商は約2億6千万円にものぼっています。みなさんもどこかの料亭や旅館の料理で、一度はこの上勝町で作られた「つまもの」を見かけたことがあるかもしれませんね。
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出典:いろどり

年収1000万円のおばあちゃん?

では、どんな人たちがかかわってこのビジネスが成り立っているのでしょうか。
ここ上勝町での葉っぱの出荷農家は、現在190世帯。主力になっている従業員は全員、平均年齢約70歳の、この町に住むおばあちゃん達です。その中の誰もが、パソコンやiPadといった最新のIT技術を使いこなすことができ、全国の市場情報を自分達で収集してマーケティングを行い、全国に葉っぱを出荷しているのです。また、自分が出荷した葉っぱの出荷量、売り上げ順位を毎日パソコンで確認し、「高く売れないと悔しい」、「上には上がいる、負けたくない」と言って、日々競争するおばあちゃん達。中には驚くべきことに、年収約1000万円のおばあちゃんも存在しているのです。ここまでくるともう、立派なひとりの起業家ですよね。

アイディアの源は突然に

このアイディアを思いついたのは、現在の株式会社いろどり取締役、横石知二さん。始まりは、料亭で隣の女性客が料理に添えられた紅葉を持ち帰ろうとしていたのを見たことだったそうです。その時横石さんは、自分の町に葉っぱがたくさんあることを思い出し、葉っぱビジネスを思いついたと言います。はじめは頭のおかしい人だと非難する人も多かったそうですが、日々の研究や協力してもらえる人々を募るための説得、そして必ず成功すると信じて失敗を繰り返した結果、今では立派な一つのビジネスとして成り立つまでになりました。
そしてそれだけではなく何よりも、高齢化で寂れ往く町に活気もたらし、そこで暮らす人々に、いくつになっても働ける、「仕事」という生きがいをあたえることができたのではないでしょうか。ビジネスは単純にお金という利益を生むだけでなく、人々に生きる喜びと、現代社会が失いかけていた、人と人とのつながりを呼び起こすこともできるのです。

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誰でもタヌキになれる?何気ないことの重要さ

そんな、一つの町の活性化をもたらしたイノベーションビジネス。
でも、イノベーションなんて難しいし、自分には無理って思う方もいらっしゃるのではないでしょうか。しかし、日常生活の中の何気ないことからビジネスが始まり、イノベーションは起こせるものでもあるのです。
この紅葉を使ったビジネスも、本来は高齢者に対する福祉を始めようとしたところから思い付いたものでした。たしかにお金の給付や介護施設を充実させることは大事な福祉の一つでしょう。でも、ただ何もせず過ぎゆく日々をおくる高齢者の人達に、「出番」と「生きがい」を与えることが本当の福祉だと気づいたとき、このアイディアが生まれたのです。
そのために必要なことは、「何気ないことを大事にする」ということ。そして、「誰かのためになる何かを始めてみよう」という気持ではないでしょうか。何気なく思い立ったことを行動に移し、騙されたと思って信じてみる。そんな何気ない日常にこそ面白い発見があるのかもしれません。
人々に幸せと喜びをあたえる化かし合い。今日から自分がタヌキになった気持ちで始めてみてはいかがでしょうか。

参考文献
J-Net21 中小企業ビジネス支援サイト
いろどり いろどりストーリー

(記事作成:伊藤 有理奈   記事編集: 田中嘉 )

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