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雪が電気に?!雪にみるイノベーション~「困らせる雪」から「喜ばせる雪」へ~

記事作成: 中野 綾香   記事編集: 和田有紀子 | Innovation |2014.03.05

皆さんは雪の結晶を見たことがありますか?

先日、北海道に行った際にふと自分の黒いコートに積もった雪に視線が行きました。それをじっくり見てみると、一粒一粒が雪の結晶。久しぶりに見た北の雪国の結晶はとても綺麗でした。風が穏やかで気温の低い雪の日に、ふわふわと空から降ってくる雪の一粒一粒に注目すると、あなたもきっとそれを見ることができるはずです。

雪は天から送られた手紙~中谷宇吉郎~

世界で初めて人工的に雪の結晶を作ることに成功した中谷宇吉郎は、6000以上の種類が存在しその日の空の状態を表す雪の結晶のことを、「天からの手紙」と表現しました。

例えば、雪の結晶の代表的な形ともいえる樹枝状(左写真)は上空の温度が-10から-20℃ほどで、空気中の水分量が高い場合に形成されます。それに対して、円柱型(右写真)は-20℃以下の極寒状態、かつ空気中の水分量が少ない時に発生するのです。普段、私たちが見ることのできない世界の状態を、このような形で知ることが出来るなんて、とてもロマンチックですよね!

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雪の結晶が大量に降ってきた・・・!!!

しかしこのように美しく神秘的な雪の結晶も、雪として大量に降ってくれば、気分一転、憂鬱なものになります。

2月8日に引き続き、先日2月14日にも全国的な大雪となり、東京都心でも25cmを超える積雪が観測されました。電車が動かないから遊びに行けないし、かといって家でのんびりしようと思ってテレビをつけても大雪のことばかり。コンビニに行っても美味しいものは未入荷状態……

「せっかくの楽しい春休みなのに、大雪のせいで……」

このように大雪に飽き飽きした大学生も多いはずです。

大雪は大学生の“貴重な春休み”を奪うと同時に甚大な被害を生み、また大雪処理に約150億円もの費用を要している自治体もあります。

「大雪なんて降らなければいいのに……」

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“大雪”は未来の救世主?!

そんなことを思っていても降り続く雪。

雪の処理も大変だし、お金もかかる。いっそのこと大雪を利用してしまおう!このような逆転の発想で考案されたのが「雪エネルギーによる発電」です。具体的に説明すると、夏期、ヒートアイランド現象によって50℃以上に達した都市部の舗装路面と、冬期から地下に貯蔵した雪との温度差を利用して、スターリングエンジンによる発電を行なうというものです。

スターリングエンジンによる発電は東日本大震災を契機に注目されるようになり、宮城県の南三陸町を始めとする自治体でおがくず等の間伐材を利用したスターリングエンジン発電導入が進められています。今回の「雪エネルギーによる発電」は、その技術を雪にも適用させようというものです。この発電方法を用いることで雪を有効活用できるのみならず、夏の路面温度の低下も図られるため、冷房に使用される電気消費量も減少させることが出来るのです!

 ☆雪エネルギーによる発電のメリット

  1. 除雪作業の手間が軽減される⇒除雪費用削減
  2. 除雪作業の際に除雪車から排出されるCO₂削減
  3. 雪を道路の地下に埋め込むことによる冷房効果⇒夏期の温度低下
  4. 原子力に頼らず、CO₂も排出しないエコな発電

 

「大雪」は今年の夏を「涼しく過ごす」ための、空からの贈り物なのかもしれませんね!

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 Necessity is the Mother of Invention

あることに関して不便だと感じたり嫌だと思ったりしたとき、その状態を改善しよう、もっと便利にして快適にしようというモチベーションの下でイノベーションが起こります。今回の「大雪」に関しても同じ。雪って邪魔!という負の感情が元となって生まれたアイディアなのです。今回の記事では「スターリングエンジンによる発電」という、小難しくて聞きなれないイノベーションについて紹介してきました。

「やっぱり、イノベーションを起こすには理系の知識が必要なんだ・・・」

「私、文系だし、イノベーションを起こすのは無理かな・・・」

このように感じた方もいるかもしれません。もちろん、知識があるのに越したことはありません。しかしイノベーションを自ら起こすために最も重要なのは、発想力・柔軟性だと思います。あなたが今後、嫌な出来事に遭遇した時、ただそれを回避したり逃げたりするのではなく、その嫌なものを有益なものに転換する。このような逆転の発想が、グローバル社会において求められているのかもしれませんね。

 参考資料

  1. 木村浩一・兼古悟「雪エネルギーによる発電」
  2. 北海道大学低温科学研究所
  3. National Weather Service Weather Forecast Office

(記事作成:中野 綾香   記事編集: 和田有紀子

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