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学生が知っておくべきビジネスマインド~ハイテク自販機に学ぶ「本当に優れたイノベーション」とは~

記事作成: 吉田 圭佑   記事編集: 和田有紀子 | Innovation |2014.04.20

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街を歩いてみると、路上や公園、駅などさまざまな場所に自動販売機があるのを見かけますね。飲み物を売っている自販機はもちろん、アイスやパン、おでんといったものを販売している自動販売機を見かけることもあります。

そんな自動販売機は年々進化を続けていて、ルーレットによるあたりつきのものがあったり、ポイントカードと連動していたり、電子マネーに対応していたりと、多くの素晴らしい技術が搭載されています。

しかし、どんなに素晴らしい技術を搭載していても、必ずヒットする自動販売機になるとは限りません。

最近の例では、タッチパネルを導入した最新式自動販売機「acure」が着実に設置台数を伸ばす一方、画期的節電システムを導入した最新式自動販売機「ピークシフト自販機」が苦戦しています。この2つの自動販売機の明暗を分けた要素とは何なのでしょうか?本当の意味で「優れたイノベーション」とは何なのか、ハイテク自動販売機を通じて考察してみたいと思います。

 

「acure」ってどんな自販機?

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「acure」とは、JR東日本の駅構内を中心に設置されている自動販売機で、従来の自動販売機のようにボタンで商品を選択するのではなく、タッチパネルで商品を選択することが最大の特徴となっています。

実際にタッチパネルに表示されている商品に触れてみると、その商品の紹介文やカロリー情報などを見ることができます。

画面に表示されるのは商品だけではありません。「acure」に取り付けられている小型センサーによって自動販売機の前に立った人の性別や年齢を判別し、時間帯や気温に応じておススメの商品やそのCMを表示することも可能です。

「ピークシフト自販機」ってどんな自販機?

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「ピークシフト自販機」とは、一言で言うならば超省エネ型の自動販売機といったところでしょう。

冷却する対象であるはずの飲料を「冷却材」として使用することによって、電力使用が一般的にピークになるとされる日中にはほとんど使わず、比較的電力に余裕のある夜間に冷却を行うという技術を搭載した自動販売機です。

この自動販売機は、日中最大で16時間ほど冷却用の電気の使用を完全に停止することが可能で、従来の自動販売機の使用電力を95%抑えることができます。一部の商品が「あったか~い」飲み物で、加温する必要があるものであっても14時間ほど冷却用の電気の使用を完全に停止することが可能です。

優れたイノベーションかどうかは技術者が決めるものではない

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これまで見てきたように、「acure」にはタッチパネルと小型センサー、「ピークシフト自販機」には電力消費の抑制といった素晴らしい技術がそれぞれの自動販売機には搭載されています。それにもかかわらず、「acure」が比較的成功して、「ピークシフト自販機」が苦戦を強いられているのはなぜなのでしょうか。

私は、このハイテク自動販売機の明暗を分けた要素を「消費者を巻き込むことができたかどうか」にあると考えます。

「acure」に使用されているタッチパネルには、商品の情報やおススメ商品が紹介されているのでビジュアル的に消費者を楽しませることが可能です。一方、「ピークシフト自販機」の節電技術は、たしかに素晴らしい技術であるものの、その素晴らしさを消費者に直接実感してもらうことは難しいでしょう。

「acure」のHPを見てみると、「acure」の目標として「自販機での買い物をちょっと楽しくしたい」と書かれています。「acure」は自動販売機で買い物をする消費者の存在をしっかりととらえているのです。

「イノベーションの派手さ」という面では、既にスマートフォンなどで使用されているタッチパネルという技術を用いた「acure」よりも、斬新な節電技術を搭載している点で「ピークシフト自販機」の方が上回っていると言えるでしょう。しかし、結局のところ製品の良し悪しを決めるのは技術者ではなく、消費者です。良い製品が売れるのではなく、売れる製品が良い商品なのです。

優れたイノベーションとは、性能の良し悪しによってのみ左右されるわけではありません。対象となる相手を巻き込む力を持った技術革新こそが、優れたイノベーションと言えるのではないでしょうか。

(記事作成:吉田 圭佑   記事編集: 和田有紀子

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