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東大卒のシリコンバレーの実業家、津谷祐司さんインタビュー(後編)

「好きなことを仕事にするための大学生活の過ごし方」

記事作成: 何 遥   記事編集: 和田有紀子 | Innovation |2014.05.10

今回はサンフランシスコで会社を経営する、株式会社ボルテージのファウンダーであり、現会長の津谷祐司さんにお話を伺った。

世界の最先端で日々ビジネスを行っている津谷さんに訊く、「好きなことを仕事にする極意」とは何か。好きなことを仕事にするために、大学生の今やっておくべきことは何か。

株式会社ボルテージ取締役会長 ファウンダー

津谷 祐司(つたに ゆうじ)

株式会社ボルテージ取締役会長 ファウンダー。

1963年福井県生まれ。1985年東京大学工学部を卒業後、博報堂に入社。企業PR 館の企画など、主に空間プロデューサーとして活躍する。1993年UCLA(カリフォルニア大学ロサンゼルス校)映画学部大学院の監督コースに合格し、留学。1997年帰国し、博報堂へ復職。同年社内ベンチャーでインターネット事業「おでかけナビ」を立ち上げる。1999年退職後、ボルテージを設立し、社長に就任。携帯コンテンツ事業を開始。2000年リアルタイム対戦ゲーム「バトル東京23」で、第1回MCF モバイルコンテンツ特別賞を受賞。2002年事業経営の合間を縫って、卒業作品の編集を完成させ、UCLA を卒業。

2006年劇場映画『Wanna be FREE! 東京ガール』を監督。

学生インタビュアー

何 遥(か はるか)

早稲田大学2年生。自身の経験から世界の教育制度や異文化心理学に興味を持っている。

インタビューを通して伺うことのできる貴重なお話を記事にして伝えることで、大学生に少しでも広い可能性を持ってもらいたいと思い、インタビューを始める。

◆好きなことと現実社会とのリンクを見つける

【インタビュー】津谷さん1_1

何「では将来のキャリアも好きなことを基準に考えるのがいいのでしょうか」 

津谷「そうですね。ぜひ好きで得意なことを仕事にしていってほしいです。でももう一つ考えなければいけないことがあって、それは現実的なお金の問題。好きだけではやはりダメで、現実社会で生活し活動を大きくしていく必要がある。そこでどうすればいいかというと、好きなことと現実社会の接点を考えるということ。自分が夢中なことと、それを使ってどう稼ぐかという仕組みを考えるのです」

「僕は物作りが好きだったのですが、ただものを作っているだけでは生活も社会的活動もできないから、現実でどうすればお金が稼げるかと考えたところ、大学では建築を学び、就職は博報堂という広告代理店に入り博覧会などの仕事をしました。そのあとは、映画作りを学んだり、起業してゲームをつくって売る事業をはじめました。振り返って考えてみると、全部リンクしています」

自分の本当に好きなことを仕事にするには3つ方法があります。

  1. 会社員として、新商品や新規事業に携わること
  2. フリーランスで活動すること
  3. リスクを取って、起業すること

の3つです。必ずしも起業をしなくても、①のように会社員として自分の好きな仕事に近づいていくことは可能です。起業に関しては、商品やサービスを作るだけではなく、組織をオーガナイズする必要があり、向き不向きがあります。なので、20代のうちは①の会社内で行うのが一番いいのかと」

「具体的に言うと、会社員でいながら、自分から企画を発案し提案していくことです。熱意と自発性があればできるはず。自分の頭で考え、実行し、失敗して、はじめて成長できます。会社は教育はしてくれるけど、必ずしも自分のやりたいことを教えてくれる訳ではないので、自分で進んで勉強していく姿勢が大切です。 起業は本当に大変です。周りの迷惑を顧みず、人をどんどん巻き込んで引っ張っていく精神が必要」

「これに向く人、耐えられる人は少ないので、無理矢理起業しなくても、特に若くて実績やスキルがない時期には、会社員とかフリーランスの立場でやる方が良いと思います。僕の場合は、親が経営者だったので、子供のころからアップダウンの激しい生活に慣れていました。逆に、激しい生活でないと生きてる感じがしない。だからサラリーマンではなく起業が合っていると思い、実績がついてきた36歳で起業したのです」

◆今の時代の情報収集のコツ

何「情報がたやすく入る現代、情報収集をする上でのコツはありますか」

津谷「まずは自分のテーマや問題意識をしっかりと持つことです。自分のテーマをいくつか持ち、頭の中で空っぽのフォルダーをいくつか置いておく。そうすると、莫大な情報から必要なものだけそのフォルダーに入れていくことができます。例えば、僕の場合だと、建築、博覧会、流行りのお店などがテーマで、その類いのものがきたら、どんどん取り入れています。若くても5つくらい自分のテーマを持つと効率的に情報をキャッチすることができると思います」

【インタビュー】津谷後編2

◆自分の人生観が表れる、それが映画

何「これから映画をつくりたいということですが、どういった映画を考えていますか」

津谷「僕は人を感動させられる映画をつくりたいと思っていて、感動させるポイントは『叶わない願いに挑む主人公の姿を描くこと』だと思っています。叶わない願いは社会構造問題と命の限界。最終的には解決しないし、個人の力ではどうにもならない中、どうやってチャレンジしていくのかというところですね」

「あとは感動するには自分の状況と合っていること。自分が面白いと思った映画は自分の状況とマッチしています。例えば、『タクシードライバー』という映画で描かれていた主人公の葛藤がUCLA留学中の孤独感や周りから理解されない僕の状況とマッチしていて、この映画がとても心に響きました。でも全く違う経験をしてきた人が観ると、ただただ怖い映画という風になるかもしれません。人によって同じ映画から感じる物はこんなにも違うのです」

「もうひとつ僕の好きな映画に『ブラックスワン』というものがあるのですが。周りからのプレッシャーの中、自分を追いつめて、頑張って頑張って気が狂ってしまう女の子の話で、僕も一人で自分を追いつめていくような人生を送っているので、ものすごく共感できました。起業は毎日本当に大変で気が狂いそうになるし、UCLAに留学したときもなんでいい会社やめてきちゃったのかとかノイローゼ寸前になってしまって。でも、そういういっぱいいっぱいのときに大胆に行動できて、何かが拓けるので」

「自分の好きな映画って本当に自分の人生観を映しています。だから、彼氏や彼女の好きな映画を聞くと、その人がどんな人生を歩んできたか、どのような人なのかより理解できるかもしれないですね(笑)」

何「留学先の新しい環境でのコミュニケーションのコツはありますか」

津谷「これは本当に難しいことだけれど、とりあえず時間ですね。長い時間をともに過ごすと、自然と仲良くなっていきます。僕がUCLAに留学をしていた時は7人のチームでプロジェクトをしていて必然的に一緒にいる時間が増えて自然と仲良くなりました」

何「グローバルに活躍するために必要なこととはなんでしょうか」

津谷「英語も大切ですが、自分の好きなことを見つけることが先ですね。好きで得意でしょうがない、というようなもの。それをとにかく突き詰めて勝負する。そういうものがあれば、英語でそれを勉強していけば英語力も自然についてきます。僕は英語が得意ではなかったのですが、映画がすごく好きで、英語で映画を学ぶということは苦痛ではなかったです」

何「津谷さんが現在働かれているシリコンバレーとはどのようなところでしょうか」

津谷「シリコンバレーのあるサンフランシスコは大きく2つに分かれています。1つは山がたくさんある田舎のいわゆるシリコンバレー。OS系のグーグルやアップルのような大きな会社が軒を連ねています。もう1つはサンフランシスコ市内の都会です。ここにはインターネットサービスやエンターテイメント会社が集まっていますね。若い人が多くてスピードや回転がものすごく早いところです。僕の会社であるボルテージもこっちの市内にあります」

◆好きなことと現実社会の接点を考えること

 何「最後に学生へのメッセージをお願いいたします」

津谷「とにかく好きなことを掘り下げていくこと。好きなことと現実社会の接点を考えて稼げる仕組みをみつけていくこと。また、メディアは煽るから、信じすぎて焦る必要はありません。就職も、就職ランキングで決めていくのはおかしいことで、上位にいる会社が30年後もずっとそこにいるとは限らない。周りの評価だけで自分の将来を決めてしまうと、30年後に後悔してしまったり、自分の人生を振り返って幸せだと感じることは難しいかもしれない。だから、自分が何が好きなのか、何が得意なのかということを知って、それを突き詰めていくこと。好きなことだったら、キャリアも人生も拓けるし、しんどいことがあっても耐えられますよ」

<本の紹介>

【インタビュー】津谷後編3

「コンテンツビジネスのすべてはUCLA映画学部で学んだ」

東証一部上場のコンテンツ企業をつくり上げた創業者が、自身の原点であるUCLA映画学部大学院留学の体験を一冊にまとめました。仕事を持ちながらも夢を追いかけた日々、英語の壁に悩みながらも、自分の表現スタイルを模索し続けた留学生活が、臨場感あふれる文体で描かれます。クリエイティブな分野で活躍することを志す、すべての人におススメの一冊です。

単行本/本文252頁(予定)/本体1400円+税/ISBN978-4-344-95213-3/C0074/2月3日発売予定

幻冬舎メディアコンサルティング発行

(記事作成:何 遥   記事編集: 和田有紀子

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