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イマドキの野菜は高層ビルで育つ?~垂直農法にみる固定観念を打ち破るイノベーション~

記事作成: 吉田 圭佑   記事編集: 和田有紀子 | Innovation |2014.05.14

農作物は、広大な畑やビニールハウスのような農地で育てられるのが当たり前でした。しかし最近では、土を使わずとも、広大な土地を使わずとも、高層ビルの内部や傾斜を利用して農作物を育てる画期的な方法が開発されています。それが、垂直農法と呼ばれる農法です。垂直農法では、高層ビルを丸ごと使って、少ない土地で効率よく農作物を生産することが可能になりました。また、少ない土地で安定した生産を行えることから、垂直農法は将来の人類を救う救世主になると期待されています。この垂直農法とは、いったいどんなものなのでしょうか。今回は垂直農法にみられるイノベーションについて考えてみたいと思います。

◆農業なのに土がいらない?

垂直農法2

垂直農法では、農作物を育てるのに土を使いません。垂直農法では、水耕栽培という方法を用いて農作物を育てます。水耕栽培とは、簡単に言えば小学校の理科の実験でやるような、ビーカーに水と養分を入れてヒヤシンスの球根を育てるものです。なぜ水耕栽培を用いるかというと、水を水車で循環させることによって雨水や川の水、高層ビル内で発生した廃液や食品の廃材を再利用することが可能で、エネルギー効率がよいからです。また、土を用いないので害虫が発生する心配がなく農薬が不要であることも水耕栽培を用いる利点です。

◆垂直農法が人類を救う? 

垂直農法3

現在の世界人口は約72億人で、急激なペースで増大を続けています。西暦2100年には約109億人に達すると言われ、このままだと人類は深刻な食糧不足に陥る可能性があります。そこで現在注目を浴びているのが垂直農法なのです。やはり垂直農法の最大の利点は、広大な土地を必要としないことです。すでに、人口密度が非常に高く、農作物の90%を輸入に依存するシンガポールでは垂直農法の研究・導入がすすめられており、シンガポールのスーパーマーケットでは垂直農法によって生産された農作物が販売されています。

◆固定観念にとらわれない発想が未来を拓く 

垂直農法4

これまで、人類が農作物を収穫する効率を上げようと考えるときには、土を改良するとか、農作物の品種を改良するという発想がほとんどでした。というのも、「農作物は地面で育てる」ということが何千年も前から行われてきており、それが当たり前のものだったからです。まず「農作物は地面で育てる」という発想から離れたとき、水耕栽培というイノベーションが生まれました。しかし、単に水耕栽培を行うだけではそれを維持するコストがかかってしまい、土で農作物を育てるよりも効率が悪い方法になってしまいます。そこで生まれたのが、一見すると農業とは全くの無関係であると思われていた高層ビルで水耕栽培を行うという発想です。高層ビルで水耕栽培を行えば少ない土地でも大量生産が可能なうえ、都市部に施設を置くことができるので輸送コストを抑えることができるのです。

「農作物は地面で育てる」「高層ビルと農業は全くの無関係」という固定観念を破ったことで、農業の常識を変え、人類の食糧事情を根本から変えてくれるであろう画期的なイノベーションが誕生しました。常識や習慣による思い込みは、新しい発想の邪魔をしていることがしばしばあります。みなさんも日常の中にある「当たり前」をもう一度考え直してみてはいかがでしょうか。もしかすると、そこに新しい発想が生まれるきっかけがあるかもしれませんね。

(記事作成:吉田 圭佑   記事編集: 和田有紀子

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