記事であなたの可能性が広がる ~学生のための記事・イベント配信サイト~

元マッキンゼー・現一橋大学名誉教授石倉洋子さんインタビュー

「世界と戦わなければならない今の学生に求めるたった1つのこと」

記事作成: 何 遥   記事編集: 和田有紀子 | Global |2014.05.17

一橋大学名誉教授

石倉 洋子(いしくら ようこ)

一橋大学名誉教授。経営戦略、グローバル競争におけるイノベーション戦略のスペシャリスト。

上智大学卒業後、フリーランスの通訳を経てバージニア大学大学院経営学修士(MBA)日本女性初のハーバード大学大学院 経営学博士(DBA)修了。その後、マッキンゼー社でマネジャー、青山学院大学国際政治経済学部教授、一橋大学大学院国際企業戦略研究科教授、慶應義塾大学大学院メディア・デザイン研究科教授を歴任。

他にも、1996年エイボン・プロダクツ株式会社取締役、2004年ボーダフォンホールディングス株式会社社外取締役、日本郵政公社理事、第20期日本学術会議副会長、第1期中央教育審議会委員、商船三井社外取締役、日清食品ホールディングス社外取締役、ライフネット生命社外取締役、世界経済フォーラムのGlobal Agenda Council Education & Skillのメンバー。

学生インタビュアー

何 遥(か はるか)

早稲田大学2年生。2014年8月よりUniversity of California, Berkeleyに留学予定。

自身の経験から世界の教育制度や異文化心理学に興味を持っている。

インタビューを通して伺うことのできる貴重なお話を記事にして伝えることで、大学生に少しでも広い可能性を持ってもらいたいと思い、インタビューを始める。

◆何でもできてしまう今の時代に必要なのは自分だけのユニークさ

何「グローバル競争におけるイノベーション戦略がご専門の洋子さんですが、IT化とグローバル化が進展している今の時代はどのような特徴があるのでしょうか」

石倉「世界がつながっているから何でもできる時代であると思います。IT化によるハイパーコネクトな時代になりつつあり、国境や会社の境界の意味がなくなってきています。だから国を超えた、業界を超えた競争をしなくてはならないので、競争が激しくなるというのは確かです。でも逆にいうと、何でもできるということです。日本にいても世界と繋がっていられる、個人でも世界レベルで活躍できる、一つの業界を超えて活動できるという、一人一人のポテンシャルが非常に高くなってきています」

何「ではこのハイパーコネクテッドで競争が激しい時代において、個人が活躍するために大切なことはなんでしょうか」

石倉「これからの時代、一つのスキルで世界と勝負するのは難しくなってきます。スキルだけではなく、自分だけの誰にも負けない「ユニークさ」で勝負する必要があります。ここで、自分のユニークさを見つけるためにも組み合わせが大切になってくると思います」

「人としてのユニークさはハードな部分とソフトな部分の組み合わせです。私たちは性別や年齢、資格や専攻、学歴や外見等の客観的な誰にでもわかる特徴ばかり気にして、人を判断しがちです。でも、そういう客観的な特徴が同じ人たちは同じかというとそうではなくって、みんなそれぞれ自分らしさがある。同じ大学で同じ専門の人でも全く違った人って多いですよね。それはなぜというと中身のその人を深く知っていかないとわからないソフトな部分があるからです」

「『これかあれ』の『or』で考えると自分と同じような人や自分よりの優れた人が溢れるようにいます。でも『これとあれ』という『and』という風に組み合わせると自分だけのユニークさが見つかります。自分のユニークさを考えるときは客観のハードな部分だけではなく、自分だけの誰にも負けないソフト部分との組み合わせで考えると本当の『あなただけの』ユニークさが見つかります」

「組み合わせが大切なもう一つの理由はイノベーションを起こせるようになるためです。まず、イノベーションを起こすにはみんなと同じことをやっていてもしょうがないから何か新しいことをしなくてはいけないというのは当たり前ですよね。でも新しいことをひとつずつ上げていくと、すぐにアイディアが尽きて限界がきてしまいます。組み合わせで考えると次から次へと新しいことが見出せる。『あれとこれを組み合わせたらどうなるのだろう』と考えるのです。例えばアップルなんかも今までにあったものを組み合わせでイノベーティブなことをしていますよね。社会起業家などもビジネスのやり方を社会的な活動に転用して新しい分野を開拓しています。 個人も企業も、何か一つの新しいことを、というより組み合わせを考える方が圧倒的に強いのです」

(ちなみに、この“組み合わせ”という発想はヤヌス的思考ともいい、クリエイティビティを上げることにも貢献します。参考:“クリエイティブ”な人材になるには?学生が実践できる5つの手法

◆「好きそう」のものから始める

【インタビュー】石倉3

何「この自分のソフトな内面のユニークさを見つけるにはどうすればよいのでしょうか」

石倉「自分の好きなことを見つけることです。好きなことや関心のあるものは楽しくできますし、辛いことがあっても続けられます。自分で好きなこと、得意なことを探し、自分のユニークさを求め、それを常に磨いていくのです」

何「好きなものがはっきりとわからないような人はどうすればいいのでしょうか」

石倉「好き”そう”なものからどんどん体験していけば徐々に自分が本当に好きなものがわかります。本当に好きなことを見つけないといけない、とみんな完璧主義すぎる。絶対これが好きというものは初めからあることは少ないです。好きそうなものからはじめていって、はじめて本当に好きかどうかわかってくるのです」

「あとは子供のころや好きだったことを思い出してみること。子供のころからやりたいことがそのままできる人は少ないけれど、なんとなく興味のあるものは将来のライフワークにつながっていることが多いです。私の場合は子どもの頃英語の授業の本が綺麗で英語の先生がかっこよかったという理由で英語が好きでした。また、なんとなく世界に関わることがやりたかった。こんなもんだから、なんとなくでいいと思います。興味のあることからとりあえずやってみる。何が好きなのか考えるよりもやってみて初めてわかるから」

何「考えすぎないでやってみるということですね」

石倉「はい、やってみてはじめて自分に向いているかどうかわかります。私がよく言うことなのですが、「場」を体験することは非常に大切です。体験してはじめて感触が得られるからです。私は『こういうの興味ない?』とか『こういうところいかない?』と聞かれたらまずやってみる。失敗は考えない。失敗することも結構あるけど、これを心配すると何もできないからです。失敗からも学べますし、はじめの一歩が遅いとどんどん出遅れて、目標までが長くなってしまいます」

「あれやりたい、これやりたいといいながら、何もやってない人がいますが、始めないと何もおこらない。始めるまでが長いとその先がもっと長くなってしまい、道すら見えない。狭い箱で一人で考えがちになります。ドアを少し開けるためにも最初の一歩が大切です」

「通訳の仕事をやめてビジネススクールに行こうか迷っていたとき、当時お世話になっていた教授に『好きでないことがわかったら、帰ってきて元の仕事を続ければよい』と言われて確かにそうだなと思いました。一応やってみる。やらないと何も始まりません」

◆自分のハッピーな姿がイメージできるか

【インタビュー】石倉4

何「では見つけたユニークさや好きなことができる場所、生かせる職場はどう見つければよいのでしょうか」 

石倉「好きだけでは足りなくて、それを必要としている場所(職場)を見つける必要がありますよね。そういう時は、自分のやりたいことをしている人がいる場所に行くこと。『私こういう風になったらいいな』というような人がいる場所へ行くのです。要は、自分がそこの(会社)一員となって活躍するイメージがわくか、そこにいてハッピーな自分をイメージできるかです」

「これ実は、企業側にも当てはまります。採用においても、会社は、目指す方向性にあった人がほしいと考えます。そこで、企業側から見て、自分はその会社が必要とする人だろうか、と考えたら良いと思います。仕事でも、何が自分に求められているのだろうか、期待レベルを知ること、それをしっかり満たすことが求められます。これも色々やってみて、「場」を体験して行くことで何が求められているかがだんだんとわかってきます」

「これは学校でもそうで、私はアメリカのビジネススクールに行きましたが、ビジネススクールも、この人を入学させると自分たちにとって良いか、を考えます。卒業後活躍できそうな人をいれたい、またその学校が目指す方向を実現してくれそうな人をいれたいのです」

何「洋子さんご自身海外経験があるように、若いうちから海外へ行くということを勧めておられますが、なぜでしょうか」

石倉「日本にはいろいろな経験を持った人があまりいないように感じます。たとえば俳優から大統領など国のリーダーになった人とか。でも世界にはこのような人がいる。そういう場所でインパクトを得るためにも若いうちから海外へ行って、世界を見ることが重要」

「世界を見るためにも海外へ。特に若い時に行くとインパクトがあるから。機会があり、行きやすいから是非行って広い世界を見てきてください」

続きはこちら➡通訳から大企業取締役・一橋大学名誉教授に上り詰めた成功者が感じる。「グローバルに活躍するために英語より大切なこと」

記事の更新情報は、Facebook, Twitterで!

(記事作成:何 遥   記事編集: 和田有紀子

「いいね!」で、最近の情報をチェック!