
「教育といえばフィンランド」というほど注目されているフィンランドの学校。追い込み型というより、自由な教育スタイルで知られています。筆者もフィンランドの幼稚園に通っていましたが、覚えているのは毎食後にキシリトールのガムが出ることや大雪の中でも必ず外で遊ぶこと……
勉強面の話を聞きたく、幼少期の友人に大学生活からフィンランド学生の留学事情までを伺いました。
- 名前 Erik Salminen
- 大学名 Aalto University
- 専攻 Environmental engineering
(怒涛の一週間を終えた様子。着ているのはフィンランド人の普段着であるオーバーオール(防寒仕様)と帽子)
◆1週間のスケジュール
月曜日から金曜日の平日は、授業午前8時から午後4時まで。昼食を学校で済ませてからヘルシンキの自宅に帰宅。水曜日は特別で、Fraternityという社交クラブが主催するパーティーに出ること多いかな。食べ物も安く手に入るし。
フィンランドの大学のパーティーは月曜から金曜まで毎日あるからリフレッシュには最適。
- 1日のスケジュール
- AM07:00 起床
- AM 08:00 or 10:00大学のあるエスポーまでバスで20分かけて登校
- AM 12:00 友人と昼食
- AM 12:00-16:00 授業
- PM 17:00 ヘルシンキにある家に帰宅
- PM 17:00-20:00 勉強、リフレッシュタイム
- PM 20:00 サウナと夕食
- PM 21:00 自由時間
- AM 01:00 就寝
◆週末のスケジュール
実家のあるトウルクに帰って両親や友達に会ったり、ヘルシンキでナイトライフを楽しんだり。勉強で疲れた週は、家で休むことも。
◆1日の平均勉強時間
2時間程度。勉強量は専攻や受講している授業によって様々だけれど、自分の場合は毎日2時間は自習している。全体的に死ぬほど辛くはないかな。授業の形式は講義からディスカッションまであって、講義形式が一番多いスタイル。
(いつも授業は楽しい。(注:寝ているのは僕ではなく友達です))
◆Aalto大学について教えてください。
僕の通うAalto大学は2010年に3つの大学(Helsinki university of technology, Helsinki school of economics and the Helsinki university of art and design)が合併してできた新しい大学。そのため、キャンパスは3つあって、僕が所属するTechnology学部はOtaniemi, Espoo にあるから自宅のヘルシンキから毎日バス20分かけて通っている。Otaniemiは小さい学生の街で中心地のヘルシンキにも近い。多島海にも近いからよく眺めている。
名前の由来は世界的に有名なフィンランド人建築家の Alvar Aaltoから。彼が担当した大学の建築は赤いレンガの素敵なデザイン。
(冬の通学は決まってアイススケートで登校)
◆この大学を選んだ理由
実は高校卒業時は将来の展望が見えてこなくて、建築や環境エンジニア、英語、と色々な分野を考えていた。で、入試でここの英語学科になったのだけど、大学で学んでいるうちにこちらに興味がわいたから専攻を変えて、今はとても満足している!
- お気に入りのキャンパススポット
メインの建物。ここには大きな円形演技場があって、そこからの眺めは最高。
(フィンランドの祝日 Vappuのとき。賑わうメインキャンパスの広場円形演技場)
◆実家通学?寮生活?それともひとり暮らし?
幸運なことに、両親がヘルシンキでアパートをもっているので、そこから通っている。学生にとってちょうどいい広さで大学行きのバス停もすぐそこだからから助かっている。ヘルシンキの中心も近いからとても便利。
◆毎日の必需品
授業にも生活にも書かせないノートパソコン。授業の資料はすべてオンライン配布で、必要な作業もすべてここで。FacebookなどのSNSもソーシャライズするにはなくてはならないアイテム!
◆普段は自炊それとも外食?
自炊をしたいのは山々だけれど、“忙しい”って理由をつけてなかなかしてない。学食もボリューム満点で格安なので、昼食はほとんどここで済ませてるよ。お腹がとくにすいたときは2回食べることも。自炊は好きなので、時間があるときには、友達とクッキングを楽しんでる。
外食では、大好きなハンバーガー屋さんがつぶれちゃったから、今いいバーガーショップを探し中。周りで人気の外食はハンバーガーやケバブ、そして中華。
(友達とクッキングしたとき。よく作るのはバーガーやポテト)
◆毎月の収支
フィンランドでは学生全員が毎月政府から300ユーロ(4万円前後)の補助金をもらえて、授業料も無料だから、自分の場合はこれで毎月の生活費をまかなっている。足りない人は授業学期中も働いている。夏休みに働いた分のお金もあるから自分は学期中は働いていない。
◆アルバイトはしていますか?
授業がある学期中は勉強に集中して、アルバイトはしていないけれど、夏休み中は毎年1ヶ月くらいバイトをしている。今年はバイオファームという乳業会社で働いていて、事務やパッケージングの作業を担当している。
◆課外活動
Satakuntalainen OsakuntaFraternityという社交クラブに所属していて、クラブ主催のパーティーのオーガナイザーとして活動している。
(パーティーの様子)
◆フリータイムの過ごし方
パーティーしたり、ゲームしたり友人と遊んだり。長距離を走ることも。勉強のプレッシャーを解消するためにインドア・アウトドアクライミングもしている。家の近くのクライミングセンターを利用したり、実際に外のビルに挑戦することも。
(クライミングをしたビルからの眺め)
◆フィンランドの高校と大学の違いとは
最大の違いは責任感。フィンランドの高校では授業に出ないと親に通知がきたりと背中を押してくれる人がいた。でも大学では誰からも指図されないけれど、テストでいい点数を取らないと落第したりするから。何をするにしても自由だけど、そこから起こる結果も全部自分の責任。
◆フィンランド人の留学事情
僕の大学では留学はとてもポピュラー。多くの学生は留学を経験していたり、したいと思っている。フィンランド人はシャイで内向的というイメージがあるけれども、少しずつ挽回している!自分も小さい頃は両親の仕事で外国に暮らしていたことがあるし、今後も留学したい。
◆フィンランドの就職事情
フィンランドの卒業後の就職は全体的にいい状況。夏休み中に関心のある業種で働いてみると、卒業後より就職しやすい。
◆フィンランドの英語事情
英語は非常に重要。フィンランド語は海外ではあまり使えないから。就職においても、流暢な英語は当たり前の就職条件。
◆大学生である醍醐味
自由かな。勉強も自分のペースでできるし、関心のある内容を自分のペースで学べるのは大学生ならではじゃないかな。政府から奨学金が欲しければ、プレッシャーは大きいけれど、それでも自分の好きな分野を自分のペースで勉強できることは気持ちいい。たくさんのいい友達にも出会えてみんな最高。
(友人と人生について考えている1枚)
◆ロールモデルはいますか?
これといった人はいない。軍隊訓練の時に特に感じたのは人生を自分なりに楽しむということ。
◆将来の夢
実はまだはっきりとしていない。今できることを一生懸命頑張りたい。人生何が起こるかわからない、ここが人生の醍醐味で、今を楽しみたいと思う。
◆フィンランドのおすすめ観光地
故郷のトウルク!フィンランド最古の街で特に夏は多島海があってとにかく美しい町。東部のサボリナという小さな町もおすすめ。湖が多くて眺めが最高。今住んでいる首都のヘルシンキも活気があって飽きないところ。
(大聖堂から見下ろすTurkuの街)
◆日本のイメージ
日本には小さい頃に何回か遊びに行ったことがあるけれど、もう一度行ってもっと日本の文化や生活スタイルを肌で感じたい。特に印象に残っているのが東京のモノレールや地下鉄、そして超高層ビル。子ども心にも感動したのを覚えています。
(日本がテーマのパーティーでの一枚。地面に横たわっている僕は寿司になりきりました)