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「伝え方が9割」の著者・佐々木圭一さんにインタビュー。「人生を変える伝え方とは相手も自分も幸せになる技術」

コピーライター/作詞家/株式会社ウゴカス代表/「伝え方が9割」著者・佐々木圭一さん

記事作成: 何 遥   記事編集: 和田有紀子 | Innovation |2014.07.04

コピーライター/作詞家/株式会社ウゴカス代表/「伝え方が9割」著者

佐々木 圭一(ささき けいいち)

上智大学大学院を卒業後、博報堂を経て、株式会社ウゴカス設立。書籍『スティーブ・ジョブズ』に出てくる伝説のクリエーター、リー・クロウのもと米国TBWA/Chiat/Dayで2年間クリエイティブに従事。

コピーライターとして日本人初、米国の広告賞One Show Designでゴールド賞を獲得(Mr.Childrenの楽曲のコピー)。アジア初、6カ国歌姫プロジェクト(アジエンスの広告コピーで)。カンヌ国際クリエイティブアワードでシルバー賞他計5つ獲得、Ad Festでゴールド賞2つ獲得、アジアで最も成功したと評価されAIMアワードグランプリを獲得、など国内外55のアワードに入選入賞。 広告以外には、郷ひろみ・Chemistryの作詞家として、アルバム・オリコン1位を2度獲得。日本動物愛護協会最年少理事。雑誌「動物たち」のカバーデザイン。Warner Music Japanのレーベルロゴデザイン。

上智大学非常勤講師として人気。心を動かし、人を動かすことをライフワークにしている。

学生インタビュアー

何 遥(か はるか)

1995年生まれ。早稲田大学2年生。8月よりUniversity of California, Berkeleyへ。異文化心理学とメンタルヘルスに強い関心を持つ。文章を通して、誰もが一人ひとりの個性を生かして社会に価値提供をできる人材になれるようサポートしたく、インタビューを始める。

◆ずっとコミュニケーションが上手になりたかった学生時代

何「今ではコピーライターや作詞家として数々の賞を受賞しており、第一線でご活躍されている佐々木さん。学生時代から伝え方が上手だったのですか?」

佐々木「もともと人とのコミュニケーションが苦手でした。学生時代も、地味な大学生で、テニスサークルのコート取り係りを担当していました。部長のようなイメージだとよく言われますが、実際は人があまりやりたがらないコート取り係。超地味な学生時代を過ごしていました」

何「卒業後は広告会社に進まれましたが、それはなぜでしょうか?」

佐々木「理系だったのですが、キャリアについてはとても悩みました。ロボットの勉強をしていて、そちらに進もうとも思っていたり…でも、人とのコミュニケーションがすごく苦手だった私は、人ともっとうまくコミュニケーションができるような人になりたい、という思いが強くて。コミュニケーション=広告会社と思って、広告会社に就職を決めました」

◆毎日会社に行くのがつらかった当時に気づいた伝え方の法則

佐々木「伝えることが苦手な私は広告会社に入ったら、コピーライターとして配属されました。うれしかったのですが、もともと文章を書くのが苦手で、実際には全くコピーが書けませんでした。トレーニングも受けていなかったから何もできなくて。上司にも本当にダメだと言われて、毎日会社に行くのがつらかった。しばらくこういう状況が続いていました。」(編集者:ストレスで1年で体重が15%増え、アゴもなくなったそうです)」

「そんな時、当時世の中にあるいいコトバをノートに書き込むということをしていたのですが、ある時気づいたのです。人にインパクトを与える強いコトバの数々が似ているということ、そして強いコトバには、単語一つ一つは違っていても、共通の構造があるということに気づいたのです」

「例えば、燃えよドラゴンという映画の『考えるな、感じろ』という言葉や世界に一つだけの花の『ナンバーワンにならなくてもいい もともと特別なオンリーワン』。」

「単語は違っても正反対の組み合わせという構造が似ています。これは応用が利きそうだと思いました。実際、AKB48第三回総選挙での前田敦子さんの『私のことは嫌いでも、AKBのことは嫌いにならないでください』や、オバマ大統領の『これは私の勝利ではない。あなたの勝利だ』もこの法則にしたがっています。」

「これはギャップ法と言って、伝えたいことの正反対の言葉を前半に置くことで、インパクトの強いコトバができることです。例えば、『このコーヒーがおいしい』よりも『他のコーヒーがまずく感じるほどおいしい』、『あなたが好き』よりも『嫌いになりたいのにあなたが好き』と言ったほうが心に響きますよね。このギャップ法を含め、人の心に残る言葉には大きく5つの種類があります」

  1. サプライズ法―超カンタンだけれど、プロも使っている技術(あ、小林製薬)
  2. ギャップ法―オバマ大統領や村上春樹氏も使う人の心を動かす技術
  3. 赤裸々法―あなたのコトバをプロが書いたように変える技術(唇が震える、あなたが好き)
  4. リピート法―相手の記憶に刷り込み、感情を乗せる技術(会いたくて、会いたくて、震える)
  5. クライマックス法―寝ている人も目を覚ます、強烈なメッセージ技術(最後にこれだけは覚えてほしいのですが~)

これらのルールは技術としてだれでも使えるものです。そして使うことで、誰でも強いコトバがつくれるのです。

◆Yesがもらえるデートの誘い方

【インタビュー】佐々木圭一1

何「人生において大切なこの『伝え方』はセンスでなく、誰でも“学ぶ”ことができる技術なのですね」

佐々木「料理にレシピがあるように伝え方にもシンプルなルールがあります。このルールを使えばだれでも人の心に残る“強いコトバ”がつくれます」

「相手との会話で、NoをYesに変えるには以下の3つのステップがあります。

  • Step1 自分の頭の中をそのままコトバにしない日本では
  • Step2 相手の頭の中を想像する
  • Step3 相手とのメリットと一致するお願いをつくる

例えば、気のある相手をデートに誘いたいとき。日本では『デートしてください』よりも『驚くほどおいしいパスタを食べに行かない?』のほうがYesの答えをもらえる可能性が高いです。」

「自分の思いのまま発すると、『デートしてください』になりますが、相手の気持ちにたってみると、興味のない人とはデートしたくないはずです。そこで、まずここはまずぐっと我慢(Step1)。代わりに、相手の頭の中を想像して、相手の好きなものや苦手なものを知ろうとします(Step2)。『イタリアンが好き』『新しいものが好き』ということが分かれば、相手のメリットと一致する『驚くほどおいしいパスタを食べに行かない?』という伝え方をすれば(Step3)、相手を満たしながら、自分の求めている結果(デート)を達成できます」

  • Step1  自分の頭の中をそのままコトバにしない
  • Step2  相手の頭の中を想像する
  • Step3  相手とのメリットと一致するお願いをつくる

この3つのステップを使えば、だれでもYesの答えをもらえる可能性が高くなる。

◆相手の頭の中をどれだけ想像できるか

佐々木「ここで一番大切なのは、Step2の相手の頭の中をどれだけ想像できるかということです。つまり、相手の立場に立って、相手が何を言われたらうれしくて、どんなことを言われたら困るかを考えるのです。そして、相手が言われて気持ちいいことを言い、困ることは言わない。この時、相手の気持ちを考える切り口は7つ。その一部が以下の4つ。」

イエスに変える切り口

①相手の好きなこと
―「デートしてください」よりも「驚くほど旨いパスタどう?」
②嫌いなこと回避
―「芝生に入らないで」よりも「芝生に入ると農薬の臭いがつきます。」
③選択の自由
―「デートしてください」よりも「驚くほど旨いパスタの店と石釜フォカッチャの店どちらがいい?」
④認められたい欲
―「残業お願いできる?」よりも「きみの企画書が刺さるんだよ。お願いできない?」

「上記のポイントを言い換えると、自分ではなく、相手の気持ちを優先して考えるということです。思わず人は自分の思ったことを口にしたがるけど、まず相手の気持ちに立ってみることで、自分も相手も満足のいく結果になります。『北風と太陽』という童話でも、北風が無理やり風を吹かして旅人の上着を脱がせようとしてもだめで、太陽が照り付けることで旅人は自分から上着を脱ぎます。伝え方においてもそうで、相手が自分からYESと言えるようにこちらが工夫して伝えるのが大切です。」

「例えば、③の選択の自由。先ほどのデートの例でいうと、直接『デートしてください』と言ってしまうと、相手は行くOR行かない、の大きな決断をしなくてはならない。人間は基本的に決断が苦手なので、少し気になる相手でもいきなりこういわれると思わず断ってしまう。それを『驚くほど旨いパスタの店と石釜フォカッチャの店どちらがいい?』と選択の自由を与えると、相手の負担をなくせるのです。」

「そして実は相手がどっちを選んでもこちらの思い通りになるのです。パスタでもフォカッチャでもデートができるようになっています」

◆伝え方はレシピのある技術、必要な材料は相手をおもう心

何「これらのルールはすべて人間の欲に関わっていて、言われたら相手にとっては気持ちよいことですよね。いい伝え方をすることで、相手を幸せにできるのですか?」

佐々木「そこはとても重要なポイントで、いい伝え方は、自分が言いたいことがしっかりと伝わり、相手のNoをYesに変えるということだけではなく、同時に相手をいい気分にすることができます。つまり、いい伝え方は自分も相手もハッピーにできるのです。伝える技術は、相手も自分も幸せになる技術。いい伝え方は相手を心地よくしながら、自分の目的を達成できる方法です。実は、私が執筆した『伝え方が9割』の裏テーマは、相手のことを想像する、ということなのです。」 

◆周囲と差をつけるために必要なのは誰も鍛えていない伝え方

何「伝え方は誰でも学べる技術でありながら、人をハッピーにできる方法でもあるのですね。では特に学生にとって、なぜ伝え方を勉強することが大切なのでしょうか?」

佐々木「理由は大きく2つあります。1つ目は近い将来の就活に向けて、2つ目は今後社会人として働くときのため、という2点です。」

「就職活動では、同じ大学の同じ学科、ゼミまで同じなのに、Aさんは内定がとれて、Bさんは取れない、ということがよくあります。年齢も一緒で、生きている時間も大体の能力も一緒。何が違うのかというと、理由は伝え方にあります。その人がいかに的確に相手に自分を伝えられるかで、就職試験の合否が分かれます。つまり、同じレベルの知識や能力といったものを持っていても伝え方一つで人生が変わってくるのです。」

「そして、この伝え方の技術を身につければ、社会人としてこれから働く際にも成果を出すことができます。社会人になってプロとして働くということは、常に成果を出すことが求められます。どんなに調子が悪くても、時間がなくても、言い訳になりません。伝え方は技術なので、身につければいつでも自分を的確に伝えられるようになります。」

「しかし日本では一般的に、伝え方という技術は個人のセンスだから学ぶことはできないと思われています。」

「そもそも、日本の教育では『伝え方』を学ばないのです。日本の小学校、中学校、高校、では国語の授業はあっても、自分の意見を伝えるということについて勉強する機会はありません。大学でも学べず、社会人になってから初めて失敗をしながら学んでいく、というのが現状です。だから日本では『伝え方=才能』という考えで、これを身につけることをあきらめてしまっています。」

「しかし、話し方が上手な人が多いといわれているアメリカでは小中高から伝え方を学んでいます。小学校から口述を重点においた国語教育が始まり、また中学校では、身近な出来事に対して自分の意見を記事にまとめあげるという、ジャーナリズムのクラスまであります。若いころから勉強する機会があるからこそ、社会人になって伝える力が必要になった時も十分発揮できるのです。」

「日本でも、若い学生のころから伝え方を身につけておくことで、就活をはじめとする、人生の重要なポイントでしっかりと結果を残せるようになります」

◆伝え方ひとつで人生がガラリと変わった

何「伝え方のルールを見つけてから、佐々木さんの人生にどのような変化がありましたか?」

佐々木「この法則に気づいてからは人生がガラリと変わりました。コピーライターとして多くの賞をもらうようになり、博報堂では初めての、会社からアメリカの広告会社への留学を果たしました。」

「苦手だった人とのコミュニケーションにおいても、今まで思いのままに言っていたのを、相手のことを考えてから言うようになりました。そうすると相手もちゃんと聞いてくれて、人間関係もすごく良くなりましたね」

☆☆☆

そんな伝え方のプロ佐々木さんに学生が持つコミュニケーションにまつわる悩みへのアドバイスをいただきました。

印象に残る自己紹介のコツは欲張らないこと

①記憶に残る自己紹介の仕方。

サークルやゼミの集まりから就職活動中まで、初対面の相手に自己紹介する機会が多い学生。記憶に残る自己紹介のコツとは?

{お答え}ポイントは一つのことに特化して話すことです。

「私はテニスをしていて、音楽が好きで、本が好きで、車も趣味で…と、いっぱい詰め込んでも相手は覚えられません。いろんなことを言わないで、1つだけをいう。例えば、私は携帯アプリについてくわしいです、携帯アプリのことならなんでも聞いてください、携帯アプリが大好きです、と。一つのことに特化して言えば、「この人=携帯の人」ということで覚えてもらえるのです。」

「これは私がやっている広告の仕事にもつながります。例えば、パソコンの広告で、このパソコンは色もきれいで、機能性が抜群で、電池が長くて、軽くて、操作性がよくて、と言っても記憶に残りません。そうではなくて、ひとつだけ強調したいポイント―このパソコンはとにかく軽いんです、ととにかく軽いという一つのことをずっと伝えることで、「このパソコン=軽いパソコン」と記憶に残りやすいのです。自分としてはあれも、これも言いたいところを我慢して、相手が覚えやすいように、相手の頭の中を想像して一つを伝えることが重要です。」

②―人見知りの克服法。初対面の人や大勢の人の前で話すのが苦手です。対策法はありますか?

{お答え}心がけというよりは、「しなければいけない」状況に自分の身を置くこと。そういう必然的に話す必要がある状況を定期的につくると、人見知りしている場合ではないので、自然と話せるようになります。

「例えば、私は塾講師のアルバイトをしていましたが、生徒は言うことを簡単に聞かないので、どうすれば話を聞いてくれるかを常に考えたり、ととても勉強になりました。」

③伝え方の中でも「書く」のは得意ですが、電話の受け答えなど「話す」ことが苦手です。よい克服法は?

{お答え}人には得意、苦手があるので、まずはできる方法から始めることです。「話す」が苦手であれば、伝える技術をまずテキストで練習してみること。メールや文字にしてみて得意な「書く」方でトレーニングをしてから徐々に苦手な「話す」で実践するとよいと思います。電話の受け答えに対しても、そのまま話すのではなく、言いたいことをまず紙に書いてから話す、ということをやってみてください。

(メールのお話がでましたが、ちなみに、デジタル文字はそれだけで感情がそぎ落とされるので、コトバで感情を30%増にするのがよいそうです。例:書類をご確認ください→書類をご確認くださいっ!)

 

“一生の武器となる伝え方はセンスではなく、だれでも学べる技術 ”

 

何「本日は貴重なお話ありがとうございました。最後に大学生へのメッセージをお願いします」

佐々木「何か資格を取るのも重要ですが、伝え方も人生において大事だからこの勉強もしてほしいと思います。例えば、同じTOEIC700点を取っていても、どうして就職試験に受かる人と落ちる人がいるのか。その理由は伝え方です。伝える技術を持っているかどうかで人生が変わります。一般的にはセンスであると思われている伝え方、本当は誰でも身につけられる技術です。英語と同じように、伝え方も学べば、習得ができるのです。今後社会に出るときのためにも、学生にうちから、なるべく早い段階でぜひ身につけておいてください。がんばってください」

佐々木さん、ありがとうございました。

{書籍紹介}

今回のインタビューのもとになった佐々木さん執筆の「伝え方が9割」。伝え方1つを変えることで、同じ内容でも相手の心にスッと入り、長く残る。そんな佐々木さんが十数年かけてたどり着いた技術を学ぶことができます。伝え方で道がパッと拓ける、可能性がずっと広がる。人生の分かれ道でしっかりと結果を残せる伝える技術が学べます。

「伝え方が9割」佐々木圭一著

【インタビュー】佐々木圭一2

伝え方にはシンプルな技術があります。この本は、著者が膨大な時間とトライ&エラーで導き出した方法論を整理しました。料理のレシピのように、誰でもコトバをつくれるよう体系化してあります。誰でも自分の日常から、試行錯誤の上で伝え方の技術を身につけることもできますが、それだと辿り着くまでに十数年かかってしまいます。効率がよくありません。この本は、著者のように回り道をしなくても魅力的なコトバを最短でつくれるよう構成してあります。この本で学べば、あなたのコトバが一瞬で強くなり、人生が変わります。

(記事作成:何 遥   記事編集: 和田有紀子

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