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私の家を世界遺産に!?世界遺産の登録基準を徹底解説!

記事作成: 佐々木 凌   記事編集: 和田有紀子 | Innovation |2014.07.22

2014年6 月21日、カタールのドーハで開催されていた第38回世界遺産委員会で、群馬県・富岡製糸場が世界文化遺産に登録されることが正式に決まりました。これで日本の世界遺産は、文化遺産14件、自然遺産4件の計18件に。
そもそも世界遺産とは、人類共通の宝である、優れた文化的遺産や特別な自然環境を過去から引継ぎ、未来へと伝えていくことを目的に、国連の専門機関であるUNESCOが定めたものです。2013年11月現在で、世界には文化遺産759件、自然遺産193件、複合遺産29件の計981件もが、世界遺産として登録されています。
世界遺産に登録されるためには、登録基準10個のうちのどれか1つの条件を満たすことに加え、国内法による保護も求められます。
登録基準10個は複雑なため、今回は「A君の家を世界遺産にするには」どうしたらよいかを考えてみようと思います。

富岡
(画像提供 富岡市・富岡製市場

 1.自然遺産or文化遺産?

富士山が自然遺産としての登録を断念し、文化遺産として登録されたように、どれだけ雄大で美しい自然であっても、そこでしか原生していない植物や、珍しい昆虫・動物が生息していないと世界遺産としては登録されません。
私の庭にしか咲いていない花がある!となれば、話は別ですが、そうでなければ自然遺産での登録はあきらめ、文化遺産での登録を目指しましょう。
ということで、A君のうちは文化遺産登録を目指します。

富士

2.古ければ古いほどよい?

文化遺産を目指すなら、今の家をそのままきれいに残しましょう!しかし、一体何年残せば登録されるのでしょうか。
日本の世界遺産で考えると、作られたのが最も古いのは、現存する世界最古の木造建築である法隆寺(7世紀後半の再建説が有力、1993年登録)。逆に、最も新しいのは負の遺産として登録された原爆ドーム(1915年竣工・1945年原爆投下、1996年登録)でかなり幅があります。どうやら何年以上前でないといけないという明確な基準はないようです。

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3.登録基準を満たしているか

登録に年数はあまり関係がないとわかったところで一安心。
文化遺産の登録の基準は10個のうちはじめの5つですので、これが当てはまるかどうか順番に見ていきましょう。

 3-1.「人間の創造的才能を表す傑作である」か?

A君の家は1戸建てで、確かに平均的な家よりは広くて見た目もしっかりしていて、傑作かと聞かれれば傑作に見えるのだけどなぁ……
……だけど、よく考えてみれば、推薦物が「傑作」なのかだったり、「人間の創造的才能を表すか」なんて、結局人の基準なのでは…?
そうその通り、最終的には世界遺産委員会の人の主観的な判断によるため、チャンスはないとは言い切れないのです!ですが、とりあえず地域住民100人が声をそろえて「あなたの家は傑作だ!」と言われるくらいには傑作でありたいものですね。

 3-2.「建築、科学技術、記念碑、都市計画、景観設計の発展に重要な影響を与えた、ある期間にわたる価値観の交流又はある文化圏内での価値観の交流を示すもの」であるか?

ん?いきなり小難しくなってきました。
ですが、つまりはA君の家が建築の発展や都市計画の発展、景観の発展に影響を与えているか、そしてさらにA君の家で価値観の交流が見られたか、ということ。…
噛み砕いて言うと、A君の家が他の芸術家に真似されたりしたか、A君の家について芸術家たちで意見交換が行われたか、といったところでしょうか。

う~ん。いくらクリエイティブでも周りとの交流がないとダメみたいです。

3-3.「現存するか消滅しているかにかかわらず、ある文化的伝統又は文明の存在を伝承する物証として無二の存在(少なくとも希有な存在)」であるか?

大切なのはそれが、伝統的な文化を表しているか、のようです。しかし、その文化は現存していなくても構わないのですね!
実は、A君の家の庭はかつて、その地域独特のお祭りの会場になっていたのです!
しかも、お祭りに使ったであろう石のオブジェが、今もきっちり残っています。これで、A君の家の世界遺産登録は、大きく近づきました!今度は、A君はこのお祭りがどれだけ特別なものだったのか、世界にアピールしちゃいましょう!

 3-4.「歴史上の重要な段階を物語る建築物、その集合体、科学技術の集合体、あるいは景観を代表する顕著な見本」であるか?

うーん、これまた難しい。簡単に言うと、その時代ならではの特徴が表れているか、といったところでしょうか。家の場合は、その時代独特の技法で描かれた絵や彫刻などがあるといいかもしれませんね。

 3-5.「あるひとつの文化(または複数の文化)を特徴づけるような伝統的居住形態若しくは陸上・海上の土地利用形態を代表する顕著な見本である。又は、人類と環境とのふれあいを代表する顕著な見本」であるか?

建物だけがユニークであるよりも、生活そのものがユニークなほうが、世界遺産登録に近づくということですね。また、立っている地形を活かすこともポイントのようです。海の近くにあるA君の家も、そこを活かした設計だとなおよいかもしれませんね。

以上、「A君の家を世界遺産にするには?」を例に、世界遺産の登録基準を見てきましたが、「抽象的な基準が多いな」と思った人も多いかもしれません。しかしそれこそが、登録されている遺産が非常に多岐にわたっている理由でしょう。

世界遺産に登録されると、世界中から注目され、観光客も増えます。しかし、本来の目的は、人類共通の遺産を後世に受け継いでいくこと。私たちも、世界遺産を訪れる時は、敬意を持って、マナーを守らなくてはいけません。この気持ちこそが、自分の家を世界遺産にするために一番必要なものかもしれませんね。

 

 

 

(記事作成:佐々木 凌   記事編集: 和田有紀子

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