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『ハーバード流宴会術』著者 児玉教仁さんインタビュー

生粋の日本人が世界で変革を起こせるリーダーになるには

記事作成: 何 遥   記事編集: 和田有紀子 | Global |2014.08.10

自らがもともと海外音痴で英語だけでなくコミュニケーションが苦手だったが故に、生粋の日本人が国際社会で戦う方法を思考錯誤を繰り返しながら体得した児玉さん。また、ハーバード・ビジネス・スクールでケース・スタディーの手法に慣れ親しみ「グローバル環境で活躍できる人材を育成」へ感動を切り口にしたインタラクティブな学習方法の独特プログラムを確立。営業、技術プロジェクト、国際企業の経営の経験より、「営業」、「エンジニア」、「リーダー・経営者」の3つの異なった視点から、「実戦力となるグローバルで活躍出来る人材」を育成することを目指している。

児玉教仁(こだま のりひと)

1972年静岡県生まれ。清水東校卒業。20歳で初渡米。1996年、バージニア州ウィリアム・アンド・メアリー大学より経済・政治のダブル専攻で卒業。1997年三菱商事株式会社入社。金属グループ鉄鋼製品部門にて多数の国際プロジェクトを手掛ける。2004年よりハーバード・ビジネス・スクールに派遣され、2006年同校よりMBAを取得。三菱商事帰任後は日米に拠点を持つIT子会社を立ち上げCEOに従事。2011年7月に三菱商事を退社。グローバルアストロラインズ社を立ち上げる。著書に「パンツを脱ぐ勇気(2011年7月、ダイヤモンド社)」、「ハーバード流宴会術(2012年11月、大和書房)」がある。

学生インタビューアー

何 遥(か はるか)

1995年生まれ。早稲田大学2年生。8月よりUniversity of California, Berkeleyへ。異文化心理学とメンタルヘルスに強い関心を持つ。文章を通して、誰もが一人ひとりの個性を生かして社会に価値提供をできる人材になれるようサポートしたく、インタビューを始める。

グローバルで活躍できる人材=どんな環境でも変革を起こせるリーダー

何「児玉さんは『実戦力となるグローバル人材』の育成をなさっていますが、児玉さんの言うグローバル人材とはどういうことでしょうか」

児玉「僕は、グローバルで活躍できるリーダーを育てたいと思っています。リーダーというと色々なイメージがあると思いますが、僕の中のリーダーは変革を起こせる人、物事を変えられる人です。
ジョン・コッターというハーバード大学ビジネススクールの教授がリーダーシップとマネージメントの違いを、リーダーシップは変革をしていく人で、マネージメントは維持していく人と定義しています。維持する人も必要だけれど、僕はこれに加えて、変革を起こせる人を育てています。そして、グローバルベースに、すなわち日本だけではなく世界で変革を起こせる人ですね」

英語能力よりも伝える力

何「ではこのグローバルで活躍できるリーダーなるために必要なのはどのようなことなのでしょうか」

児玉「大きく2つあります。まず世界を舞台にするので当然英語力は必須ですが、ここでの必要なのは英語の知識ではなく、コミュニケーション能力。伝える力が大切です。通常の日本の英語学習者の方はTOEICなどの試験で勉強した英語の知識が1あっても、それを上手く使えなく、コミュニケーションで発揮できるのは1以下。でも、実際、英語のコミュニケーション能力が1あったら、1以上の伝える力を持てるはず。なぜなら伝える方法は言葉だけではなく、例えばボディランゲージや絵を描くことなどの方法がありますよね。それを使えば、持っている英語知識以上のコミュニケーション能力が発揮できるのです。
弊社が行なっているイングリッシュブートキャンプでは、新たに英語の知識を勉強するのではなく、今の英語力を使って最大現に伝えられるようになることを目指しています。例えばTOEICが500点であったら、その英語力で、できる最大限のコミュニケーション力をつけるということです」

リーダーシップをつけるには宴会の幹事になること

何「英語力は英語の知識だけでなく、知識を上手く使って伝えられることなのですね。ではもう1つの必要な力とは?」

児玉「もう一つ必要なのがリーダーシップ。言い換えれば、変革を起こせる力ですね」

何「このリーダーシップについて児玉さんは『ハーバード流宴会術』という本で、宴会力とリーダーシップが深く関わっているとおっしゃっています。詳しく教えていただけますか」

児玉「まず、リーダーは基本的にものごとを進めていく中で、環境さえもつくっていくことが大切かと思います。例えば、会議を一つ仕切るにしても、ただ会議室をとるだけではなく、ひと工夫をするのです。午後の3時だったら小腹がすく時間だからお菓子を用意する、朝の会議ではコーヒーを用意する、というように。
ちょっとした心遣いで場をつくっていくのです。与えられたものの中からベストを尽くすのではなく、環境さえも自分でつくっていく。これがリーダーシップにおいて大切なこととのひとつかと思います。」

「そう考えると、宴会はリーダーシップをつけるよい機会です。宴会の幹事として、場所だけ確保して、連絡をするだけでもオッケー。でもそれだけではなく、その場で何かを起こしたいのであれば、ひと工夫でいろいろな仕掛けができる。例えば、サプライズを考えたり、席順を決めたり。
そこまで、考えて動けるようになると、宴会だけではなく、仕事においても、与えられた環境の中でやるのではなく、新しいものをつくっていくというリーダーシップを持てるのです」

学生が使える宴会術

何「宴会を仕切る力はリーダーシップのトレーニングになるのですね。では特に学生におすすめの宴会術はありますか?」

児玉「一つは席順をつくること。そうすると、その会の意味を考えるようになる。席を自由にしてしまうと、好きな人同士のおしゃべり会になってしまったり、バラバラに話してそれで終わり、となるとが多い。でも、もし幹事が目的を持って席順を決めると全体で盛り上がったり、一体感が生まれたりします。そのためには『そもそもこの会は何のためにあるんだっけ?』と考えるようになる。そして、その主旨に沿うためにはどうやって物事を進めていけばよいか考える。また、終わった後も、目的が成就できたかどうか反省もでき、次に繋げることが出来る。ぜひ幹事になったら『席順を創る』ということを一度やるととても勉強になると思います」

「もう一つおすすめなのが、会話のファシリテーションです。これは何かというと、全体を盛り上げる会話の仕切り。一人の話を上手に引きだして、みんなに拡張して、一体感を生み、盛り上げる。普段あまりしゃべらない人をプロヂュースすることは、結構力量がいるので良い訓練になると思います」

グローバルな舞台で宴会力は日本人の強み

何「学生も取り入れられる宴会術は実は日本人の強みなのですか」

児玉「そうですね。日本はあまり直接議論する文化に乏しいところがあるので、食事でリラックしたり少しお酒を入れることで、話を円滑にする、ということをずっとやってきました。いわゆる緩急をつける文化で、宴会は人とのコミュニケーションツールとして長く使われてきたので、日本人は得意なはず。宴会力に必要なおもてなしの心や周りを楽しませる、気を使うことをずっと考えてきた人たちだから。そして、これは世界でも使えます」

何「グローバルな舞台で宴会力は日本人の強みなのですね」

児玉「そうですね。でも、グローバル人材という言葉がありますが、グローバルで活躍するためには、「こういう人でなくてはいけない」ということは全くなくて、自分はありのままでいいのです。そのありのままの自分をしっかり伝えられて、必要なスキルを身につければそれでいい」

就職活動で必要な本質を見極める力をつけるには?

何「このありのままの自分を上手く伝えるのも難しいと思います。自分の思っていることや、頭の中のビジョンをはっきり伝えられるようになるにはどうすればよいのでしょうか」

児玉「相手にしっかりとものを伝えるには本質を見極める力が必要です。本質的な思考力を磨くのに良い方法があります。これは就活生によくお勧めする方法で、『好きか嫌いかという質問に理由を必ず3つ答える』というものです。
例えば、リンゴは好きですかという質問には好きか嫌いな理由を瞬時に3つ考える、という練習をするということです。ここで重要なのが、理由は本質が違う3つにするということ。赤くて(形状)、丸くて(形状)、大きい(形状)という似た要素のものなく、例えば、甘くて(味)、大きくて(形状)、アダムとイブが食べてから(物語)という、本質が違う理由を3つ言うのです」

「慣れてきたら『新卒採用は好きか嫌いか』という少し複雑なものでやってみます。こういう訓練をすると、的確に瞬時に物事の本質をつかめるようになり、コミュニーケションもスムーズになります。面接時に何か聞かれても、パッと答え話しながら拡張していく、そんな力に繋がります」

就活の面接で目立つ方法

何「もうひとつ就職関連で伺いたいのですが、グループディスカッションを上手く行なうコツはありますか」

児玉「役割を鮮明にすることですね。グループディスカッションで良い形で目立つ方法は3つあるかと思います。

1つ目は鋭い意見を言う、
2つ目は違う意見を言う、
3つ目はチームに貢献する。

この3つです。グループディスカッションは自分が言いたいことを言えば良いではなく、とにかく議論に貢献しなくてはならない。なので、自分の役割を瞬時に見極めて、それを貫くのです」

「頭が切れる人はインサイトフルで洞察力のある1の鋭い意見を言うことに徹することもいいでしょう。また、議論は多様性があるのが良いので、2の違った意見を言う人も大切です。みんなが一方向に向かっているときに、こっちもどう?というように反対方向に引っ張って行く人も、必要。議論が活性化されたり、思わぬ解にたどり着いたりします。そして、単に場を盛り上げるだけでなく、色々な意見が飛び交う中で、議論が円滑にいくようにするファシリテーターとして3のチームに貢献する役割も重要。意見が言えていない人に質問したり、言い過ぎる人のコントロールをする人です」

「この3つをやると企業の面接で目立つことができるかと思います。オススメなのは30分程度の短い時間であれば、どれか一つに特化してみるということ。時間が短いから、とにかく一つに徹して差別化をはかるといいのではと思います」

落ちこぼれていた高校時代/マックで注文もできなかったアメリカ留学当初

 何「児玉さんご自身について伺わせてください。アメリカに渡る前の高校時代はどのように過ごしていましたか」

児玉「高校時代は落ちこぼれていましたね。勉強が非常に苦手で420人くらいの学年ではテストで最下位近くとかとってました。あまり勉強に興味が持てず、オートバイを乗り回してたり」

何「それでもその頃からアメリカには行きたかったのですか」

児玉「高校入学前後にアメリカに留学した人が書いた本を読んだのですが、その本が面白くていつか行きたいとずっと思っていました。高校を出てから一年半アルバイトで働いてお金を稼いで。ペンシルベニアの大学に留学しました。その後ウィリアムアンドメリー大学に編入しました」

何「留学生活は順調で?」

児玉「いや、最初はとにかく大変でした。英語が全くわからないまま行ったので、マックでハンバーガーも注文できなかったですし、教科書も読めなかった。でも必ず授業が終わったら教授の所に行って、頼み込んでわからないところを教えてもらった。ほぼ毎日徹夜で必死に勉強をしました。そうすると成績もよくなり、2年目から奨学金をもらえました」

宴会術を学んだのは会社に入ってから

何「卒業後は日本へ帰って就職を?」

児玉「はい、日本へ帰って三菱商事に就職しました。ここでは、もともと得意でなかった宴会術を叩き込まれました。色々な先輩が教えてくれましたね」

何「そこからまた留学を?」

児玉「そうですね。ハーバード大学のビジネススクールに行きました。これももともと本を読んで、絶対行きたいと思っていました」

「以前会社で身につけた宴会術はここでも役に立ちました。向こう主催のイベントに参加するだけではなく、日本人が中心として自分から仕掛けることで、友達もたくさんでき、楽しかったです」

 自分から仕掛けるということ

 何「これから海外にいく学生にとって『自分から仕掛けること』はとても大切なのですね」

児玉「そうですね。海外へ行く人にはぜひリーダーシップの経験を積んでほしいです。向こうの提供する環境でしっかりやるのももちろん大切ですが、自分が何かを向こうに行って、現地の人に働きかけ影響を与えることを目標にするとより良い。ここをゴールにすると有意義な海外経験になると思います。そうすることで、これに必要なリーダシップや語学力、人間力、コミュニケーション能力がその過程でついていくのではないかと考えます」

何「最後に学生へのメッセージをお願いします」

児玉「これから就職する学生の皆さんは、自分の人生のコックピットに自分が座る、ということを意識してみてはどうかと思います。他人がこうだからこうするとか、親の言いなりでも辛い。やっぱり自分が自分の人生のコックピットに座って、方向やスピードをコントロールする人生が楽しいし幸せではないかと思います。大企業でもベンチャーでも海外でも、就職しなくても。それが自分の考える結論ならそれでいい。でも流されるのはもったいない。

「ハーバードの教授が言っていた印象的な言葉があって、毎朝鏡で自分の顔をじっと観ろと。そして自分が今自分のやりたいことをしているか、聞きなさいと。自分と対話をして、自分のありたい姿であるかと問うこと。これが大切かなと思います。頑張って、そして楽しんでください」

(記事作成:何 遥   記事編集: 和田有紀子

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