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株式会社Lang-8(ランゲート)代表 喜洋洋さんインタビュー

3か国を除く世界すべての国のユーザーに利用される誇る語学サービスLang-8

記事作成: 何 遥   記事編集: 和田有紀子 | Global |2014.08.17

喜洋洋(き ようよう)

中国生まれ。4歳から日本で育つ。京都大学卒。大学在学中に1年間休学して上海に留学をし、そこでlanguage exchangeを行う。 帰国後、お互いに母語を教えあう語学学習サービスLang-8の制作を始め、大学卒業と共に起業。現在200国以上にユーザーを誇る。2年間半にわたり、企画、海外マーケティング、ディレクション、営業をこなし、 その後2年間かけて独学でプログラミングを学び、現在はサーバー管理、開発も行う。

学生インタビューアー

何 遥(か はるか)

1995年生まれ。早稲田大学2年生。8月よりUniversity of California, Berkeleyへ。異文化心理学とメンタルヘルスに強い関心を持つ。文章を通して、誰もが一人ひとりの個性を生かして社会に価値提供をできる人材になれるようサポートしたく、インタビューを始める。

何「喜さんが運営する世界200国以上で愛用されているLang-8とはどのようなサービスなのでしょうか」

喜「Lang-8は外国語を勉強するためのウェブサービスで、勉強している人同士がお互いの言語を教えあう仕組みになっています。例えば、英語の文章を書くと、英語ネイティブが添削をしてくれ、お返しに日本語でこちらが添削をするという風に。英語に限らず、約90言語に対応していて、3か国を除いた世界中のほとんどの国で使われています。
日本のサービスですが、7割が海外のユーザーです。ユーザー同士が添削し合うサイトなので、特定の言語のネイティブが大半を占めるといったことがないようバランスを大事にしています」

何「このサービスを喜さんはなんと学生時代に立ち上げられました。なにかきっかけとなるような出来事があったのでしょうか」

喜「そうですね、大学時代の留学が大きなきっかけとなっています。
僕は中国で生まれたのですが、ずっと日本で育ったため、あまり中国語が話せなかった。だから大学時代に中国語を勉強したくて、一年間上海に留学しました。その時に、中国人と一緒に寮に住んでいて、24時間中国語漬けで上達したんですが、細かい間違いは中々指摘してもらえなかった。なぜかというと、会話では中身が大事なので間違っていてもいちいち細かい部分を直してはくれないから」

「そこで、もっとちゃんと話せるようになりたいと思い、自分で日記を書いていました。それを中国人の友達が添削をしてくれて、するとかなり勉強になった。向こうでも日本語を勉強している人が多かったので、お返しに日本語の添削をしていました。これはとてもいい仕組みだと思い、そして帰国後日本でミクシーなどのネットが流行っていたので、『オンラインでやってみたら面白そう』と思い事業化しました」。

何「そういう意味では留学は大きなきっかけとなったのですね」

喜「そうですね。今の学生さんは偉くて、留学するときにちゃんと目標を作っていく。目標なかったら行くなという人もいる。でも個人的にはとりあえず行ってみるだけでもいいと思う。海外行くだけで、語学も上達するし、文化も、普通に生活しているだけで得るものが多い。だから難しく考えないでとりあえず行ってみるのが大切だと思います」

何「では留学前は起業したいとは思っていなかったのですか?」

喜「留学前は起業したいとは思っていませんでしたね。漠然と世界を股にかけて仕事をしたいと思っていましたが、だからと言って具体的にこれがしたいということはありませんでした。理系だったので、大学院に進み、最終的にはメーカーに入るのかな、と漠然と考えていました」

何「それが留学で大きく変わったのですね」

喜「はい、上海でとても刺激を受け、そして日本に帰国後大学でたまたまビジネスコンテストがあったんですね。その時に、ITの社長さんのお話を聞いて、ITが面白そうだなと思い、起業という選択肢を初めて知りました。Lang-8のアイディアがあったので、そこからは勢いですね」

「起業した当初は、大学で開催されたビジネスコンテストの賞金や自分の貯金を切り崩してはじめました。2年後にはエンジェル(個人投資家)4人に投資をしてもらい、昨年ベンチャーキャピタルから投資を受けました」

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何「2007年に起業をされて現在は世界中で90万人以上のユーザーを誇るLang-8。直面した一番の問題は?」

喜「メンバー集めは最初から紆余曲折でした。最初に一緒に起業をした人は、世界1周をしている人で、ブログを読んで興味を持ち、実際に会ってみると意気投合したので一緒にはじめました。しかし半年でその人が辞めてしまって、そこからは出たり入ったり。基本的に、アルバイトが入ったり、Twitterで面白そうな人に声をかけたり」

「そんな中、2009年に当時エンジニアの子と2人でやっていたのですが、その子とけんか別れをしてしましました。自分はプログラミングが全くできなかったのでサービスが回せない。でもユーザーは10万人いて、どうしようとなる。プログラミングが全然わからない、でもサービスは回っている。その時に、新しい人を採用しても同じことが起こってしまうだろうから、、大変であっても自分で勉強をしようと思いました。サービスを稼働しつつ、独学で一から勉強するのは大変でした。ネットビジネスはよく落ちると言われているので、いつサービスが落ちるかと怖くて寝れなかったですね」

何「では逆にサービスをはじめられて嬉しかったことはなんでしょうか」

喜「やはり利用者からの反応が一番嬉しいですね。こういうサービスを待ってたという声や、添削しあっていることで友達になったというようなことを聞くと嬉しいです。出会い目的のユーザーには厳しく取り締まりがありますが、まじめに添削をしあっていて、国際結婚につながったケースもあり、これは純粋に嬉しかったですね」

「外国の人とコミュニケーションをとるとき、言語だけではなく、文化も習慣も知っておかないと正しくコミュニケーションができないので、人と人とのコミュニケーションから学ぶということも非常に大切にしています。人と人とのやり取りで語学は覚えるもの。でも多くの語学アプリはゲームなど一方的なコンテンツが多い。ですから、Lang-8は人と人とのつながりを意識してつくりました。これは実は自分の中国語を覚えた過程を再現したものです」

何「喜さんのバックグラウンドが影響しているのですね。」

喜「そうですね。小さいころから海外にいるので自然と作るサービスも日本限定でないものをと考えていました。また、小さい頃から、語学は何歳まで自然に話せるのかと観察をしていたので、ニュアンスレベルで学べるサービスをつくりたかった。なので、いつか起業を目指す学生もなるべく自分のやりたいことに近い職種につくと良いと思います」

何「この学生起業について詳しく教えてください。喜さんが考えるメリットやデメリットはありますか」

喜「学生のうちに起業することのメリットとしては、若いのでよりやり直しがきくこと。例えば、21で起業をして、3.4年頑張って仮にうまくいかなくても、25,6歳というのはなんでもやり直せる年齢です。若いのでお金がなくても頑張りやすいですし、体力もあって、大人に応援してもらえる。発想がまだ縛られていないというメリットもあります」

「デメリットとしてはビジネスの基本的なことを学ぶ場がないということ。お金の相場とか、名刺の渡し方とか、大人数の組織の仕組みとか。学歴と同じように社歴も見られるので、それがなかったり、横のつながりがまだ足りなかったり」

何「では学生のうちに起業するのと、社会人になってからするのかの違いとは?」

喜「社会人でも学生でも、ほぼゼロから勉強する必要があるのは同じです。会社を辞める勇気があるなら社会人を経験してからでもよいと思います。その場合は自分がやろうと思う分野にできるだけ近いところに就職するとアドバンテージになります。でも今やりたいことがある学生は今起業をしても良いと思います。僕はあの時勢いで起業しなかったら絶対にしていないから、今やりたいことがある人は今した方がよい」

「ただ起業したい学生に注意してほしいのは、始める前にお金のことを少しでも勉強しておくこと。例えば、『起業のファイナンス」という本はさくっと読めるので、こういうのを1冊くらい読んでから起業した方が良いと思いますね。また、考えるだけでなく、実際に場を体験する必要もあります。同じような職種でアルバイトやインターンを経験してはじめて、「こうやって回っているのだ」という風に仕組みがわかるので。とにかくやってみる事が大切です」

何「行動をすることは非常に大切なのですね」

喜「起業に限らず、とにかく考えすぎずに動く習慣をつけること。失敗してもいいから。小さいことからちょっとずつ、動く習慣をつける。学生向けのイベントがあったら、面白いのかなとか考えすぎず、パっと申し込んでみるとか」

何「具体的に何がやりたいかわからなくてもとにかく行動してみるということですか?」

喜「はい。やらないとわからないのは当然です。やりたいことがわからないのが普通。仕事もやってみないとわからない。だから、少しでも興味があればアルバイトやインターンをしてみて、そこで初めてイメージがわく。違ったらまた変えればいい」

何「就活について喜さんが思うことはありますか」

喜「ベンチャー起業の採用は格式張ったもののみではありません。例えば、アルバイトして採ってみた人が、優秀だったら本採用されて社員となるように。弊社も以前17歳の高校生を採用しました。英語とプログラミングができれば年齢も関係ない。すなわち、新卒採用が唯一の道ではないということ。新卒採用以外の道もあるから、あまり難しく考えないでよいのです」

「それから、できるだけこれからのびる業界を選ぶといいですね。そういう意味でも普段から世の中の変化に目を向けている必要があります。変化に対応できる能力があれば、20年後も30年後も対応できるからです」

何「では変化に対応できるようになるにはどうすればいいのでしょうか」

喜「変化に対応する癖をつけるには普段から新しいことを学び続けることです。そして新しいことに挑戦し続けることは将来の安定にもつながります。面白いことに、安定が欲しかったら常に新しいことにチャレンジする必要があって、安定を求めて安定な道ばかりを選んでいるとかえってリスクが大きいのです」

何「サービスについて、今後の展望を教えてください」

喜「もっと会社を動かして、ユーザーを全世界で1億人に増やしたいですね。また、今新しいサービスをつくっていて、このサービスでははLang-8の問題点を克服しています。Lang-8では添削をしてもらうのに文章を書かなくてはならないので、相当やる気がある人でないと取り組もうと思えないのと、携帯からのアクセス難しいことが課題でした。
新サービスはネイティブスピーカーに簡単に質問できるもので、。隣にネイティブがいるような感覚で気軽に聞くことができます。わざわざ外国語で文章を書かなくてもいいのが特徴です。Googleで調べても出てこない細かいニュアンスも教えてもらえます」

何「学生へのメッセージをお願いします」

喜「とにかく個人的に超お勧めなのが、休学してでも留学をすること。社会人になると、連続した休みがなかなか取れません。英語ができれば世界中で働けるし、一生役立ちます。お金の問題もあると思いますが、実は留学にかかる費用は社会人になったら大したことがありません。日本で考えても答えが出ないので、まず外へ行ってみることですね」

(記事作成:何 遥   記事編集: 和田有紀子

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