記事であなたの可能性が広がる ~学生のための記事・イベント配信サイト~

氷水以外にも?ALSアイス・バケツ・チャレンジから生まれる新たな社会的インパクト

記事作成: 加倉井 涼   記事編集: 和田有紀子 | Innovation |2014.09.10

最近ニュースやSNSなどで著名人がALSの認知向上の為に氷水を被るというアイス・バケツ・チャレンジを目にされた方も多いと思います。また自分自身や友人がアイス・バケツ・チャレンジをしたという方もいらっしゃるでしょう。
ところでALSとは何のことで、なぜこのチャレンジが始まったのでしょうか。そしてどうして氷水を被るこのチャレンジがこんなにも流行っているのでしょうか。 ALSをきっかけに始まった新しい運動も含め、ALSにまつわる動きを1つずつ見ていきましょう。

そもそもALSとは?

ALSとはAmyotrophic Lateral Sclerosisのことで、日本名で筋萎縮性側索硬化症(きんいしゅくせいそくさくこうかしょう)という病のことです。ALSにかかると重篤な筋肉の萎縮と筋力低下が引き起こります。運動ニューロン病の一種で極めて進行が速く、罹患した人の半数ほどが発症後3年から5年で呼吸筋麻痺により死亡すると言われています。現在にいたるまで有効な治療法は確立されておらず、日本国内では1974年に特定疾患に認定されました。1年間に人口10万人当たり1~2人程度が発症している難病で、発症は40代以上に集中しており、男性が女性の2倍ほどを占めています。

アイス・バケツ・チャレンジ流行の始まり

この試みは2014年7月にアメリカで始まりました。元ボストン大学の野球選手ピート・フレイツさんから始まったもの言われており、7月頃からALS患者を身内に持つユーザーが草の根的に始めたものがfacebookやtwitterなどのソーシャルメディアで広まり、著名人がチャレンジすることによって全世界的に広がりました。アメリカ国内ではfacebookの創設者マーク・ザッカーバーグや、Amazonの創業者ジェフ・ベゾス、マイクロソフトのビル・ゲイツなどIT業界の著名人をはじめとし、タイガー・ウッズ、ジャスティン・ビーバーなども氷水を被りました。日本国内でも歌手の浜崎あゆみを皮切りに、孫正義や香川真司など多くの著名人がこのチャレンジに参加し、大きな注目を集めています。社会的に影響力のある人物がこのチャレンジに参加する事でALSの社会的認知が向上したというのは間違いない事実でしょう。

何故氷水なのか

なぜ氷水を被るの?と思いますよね。慈善活動のための資金調達の方法として氷水を被るという運動はこれが初めてではなく、2013年~2014年の冬の間”Cold Water Challenge”という運動がアメリカで人気となっていました。なぜ氷水なのかは諸説ありますが、アメリカのスポーツ界では氷水を被るのは祝福を意味すると言われておりこれを真似したという説、常温から急激に体温を下げると筋肉が縮んで、
ALS患者と同じ様な体験ができるというのが有力な説です。

なぜこんなにも流行っているのか

アイス・バケツ・チャレンジはその本質自体が拡散しやすいようにできていると言われます。簡単にできること、公共の場や友達が見ている場で指名されること、他の人にタグ付けする行為にはチェーンメールのような「次に回す」という特質があるからです。日本ALS協会は9月2日に開いた記者会見で、8月31日までの2週間で通常の4.5年分にあたる2,747万円の寄付が贈られたと発表しました。

氷水以外を被る人々続出!?

モデルの栗原類は現金をかぶり、被った現金を寄付するという動画を公開。

女優のオリヴィア・ワイルドは母乳を被る動画を公開しています。

漫画家のみずしな孝之さんは、氷水を被っているイラストをオークションに出品し、落札額を寄付するというチャレンジを行っています。

このようなユニークな方法もALSの認知向上に一役買っていますね!

アイス・バケツ・チャレンジから始まる新たな運動

この運動が広まるにつれて、チャレンジ内容や目的に変化を加えたものが登場するようになりました。
イスラエル軍によってガザが侵略されているパレスチナ自治区では、水も氷を作る電力も不足しているため、パレスチナ人ジャーナリストのアイマン・アルールさんは、イスラエル軍の攻撃によって破壊された家屋のがれきを頭から被るチャレンジを行い、ガザへの連帯を訴えました。アルールさんは次のチャレンジャーの指名はしませんでしたが、これに共感した人々によってがれきチャレンジは広がっており、カナダやマレーシアでチャレンジする人も現れています。
水不足に苦しむ南アジアでは、インドで氷水をかぶる代わりにバケツ1杯分の米を集め、必要としている人に寄付する運動「ライス・バケツ・チャレンジ」が始まりました。南アジアにおいてアイス・バケツ・チャレンジは水の無駄遣いであると批判されていましたが、ライス・バケツ・チャレンジの考案者は「ライス・バケツ・チャレンジなら食料を必要な人に届けることができる上、水を無駄にすることもない」と話しています。ライス・バケツ・チャレンジのfacebookページは開始3日で22,000を超えるいいね!を記録するなど大きな話題を集めています。
またネパールでは災害で家を失った人にバケツ1杯の物資を支援する「フィル・ザ・バケツ・チャレンジ」が始まっています。

賛否両論、この運動の意義とは?

世の中で話題となり、多方面に影響をもたらしたアイス・バケツ・チャレンジですが、「有名人の売名行為だ」という意見や募金を見世物にすることへの違和感、氷水を頭から被る危険性、本質から離れているのではないかという懸念なども一方で広まっています。
しかし、今回の運動で世界中の人にALSの認知が広がったのは事実であり、募金額もたいへん多く集まっています。また、ライス・バケツ・チャレンジやフィル・ザ・バケツ・チャレンジなどの新しい支援の形に派生したこと、これまでのチャリティと比べ大きな盛り上がりを見せていること、オフラインでの活動をオンラインで拡散、そこからまたオフラインでの活動に繋げていくという形のチャリティのあり方が提示されたことなどを考えてみれば、今回のアイスバケツチャレンジは新しいチャリティのあり方を示したという点においてイノベーションと言えるのではないでしょうか。

アイキャッチ画像:slgckgc

(記事作成:加倉井 涼   記事編集: 和田有紀子

「いいね!」で、最近の情報をチェック!