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2020年五輪に向けて東京が解決すべき課題とは?

記事作成: 戸高 浩太郎   記事編集: 和田有紀子 | Future |2014.09.22

2020年の東京オリンピック開催決定から9月でちょうど1年。日本では半世紀ぶりの開催で、経済効果や雇用の創出など、様々なメリットがありますが、その一方で、東京にたくさんの外国人を招くために改善しなければならない点も浮き彫りになってきました。どうすれば東京が目指す成熟都市でのオリンピック開催の意義を示し、安全で満足度の高い大会開催が可能となるのでしょうか。

50年前はモノレール建設、今回はどうなる

東京は電車、地下鉄、バスと公共交通機関も発達しており、街並みも美しく、外国人を招くのにふさわしい街であることは間違いありません。しかし日本に観光に来る外国人は様々な点で東京に不便を感じています。

例えば、最近話題になっている羽田空港と都心を結ぶ直結線について考えてみましょう。政府はオリンピック開催を見据え、羽田空港の国際化を促しました。これを受け、JR東日本は休止中の貨物線を使い、羽田空港へ東京駅や新宿駅、新木場方面から直接アクセスできる路線の建設を検討しています。特に多くの競技会場がある臨海部へのアクセスが便利な新木場については五輪開催前の開通を目指すとしています。

現在、羽田空港へのおもなアクセス手段は東京モノレールと京浜急行ですが、それぞれ終点は浜松町と品川。臨海部や国立競技場にアクセスするためには乗り換えが必要になります。羽田空港と東京駅や新宿駅が乗り換えなしで結ばれれば、大きな荷物を持った海外からの旅行客は移動が大幅に楽になります。

この計画には、休止中の貨物線を旅客転用する目途をつけることや、それぞれの終点の駅の整備などに時間がかることから、JR東日本は新木場へのアクセス線を暫定的に開業させることを検討しているそうです。

JR東日本の計画の他にも、東急の蒲田駅と京急の蒲田駅を結ぶ通称「蒲蒲線」計画や、東京モノレールの東京駅までの延伸など、ここにきて次々と羽田空港へのアクセスに関するホットな話題が出てきています。長い間新たな交通機関の参入がなかった羽田ですが、オリンピックを機にそれは大きく変わりそうです。しかしこのインフラ整備は、東京オリンピックを見据えたものであるだけでなく、今後日本が目指す観光客の増加につながるものでなければなりません。本当に新アクセス線が必要なのか、必要だとすればどのように整備するのがベストなのか、長期的な利益を考えて計画・実行する必要があるでしょう。

オリンピック2

成長が止まらないネット社会を見据えて

さて、東京オリンピック、そしてその後の東京で海外からの観光客を呼び込むためには、アクセスの簡易化以外にどのような努力が必要でしょうか。

ここ数年で急速に普及したスマートフォンやタブレットですが、海外から来た人は、日本では自分の国で使っているキャリアの電波では通信できないことがほとんどです。そのためタブレットやスマートフォンで通信をするには無線電波(Wi-Fi)が必須でしょう。ところがこのWi-Fi、日本ではあまり整備されていません。これではスマートフォンやタブレットを最大限活用できず、またSNSなどの利用もできません。観光には欠かせない地図やナビゲーションもオンラインでしか使えないものが多く、これらも非常に使いにくくなってしまいます。海外では空港での無料のWi-Fi環境はもちろん、街中でも無料で使える公衆無線LANの整備が進んでいます。空港→駅→目的地まで、外国から来た人ができるだけオンライン環境でいられるよう、無料の公衆無線LANを整備する必要があります。

2020年には、現在よりもさらにインターネットを活用した社会になり、オリンピックもインターネットを通じて世界中に発信されるでしょう。そのためには公衆無線LANの整備は欠かせません。もちろん外国からの観光客のためだけではなく、日本人が今後、インターネットを活用していくという点で、現在の有料かつ限られた人しか使えないWi−Fi環境では不十分です。前回の東京オリンピックの際にも新幹線や首都高速など、現在の日本に欠かせないさまざまなものが整備されてきました。今後日本の発展に長い目で見て、貢献できるようなものを整備できれば、それこそ東京が目指すオリンピック像の一つと言えるでしょう。

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安心して楽しめる大会に

最後に、このようなおもてなしの実践だけでなく、安全性の担保についても考えてみましょう。最近の国際大会では、大会の安全な開催が求められます。オリンピックには要人も含め世界中から多くの人が集まるので、暴力的手段に訴えたテロはもちろん、増加してきているサイバーテロの脅威にもさらされやすいので十分な警戒をする必要があります。例えば前回2012年ロンドンオリンピックでは、警備の大幅な増強や地対空ミサイルを一部に配備しましたが、大会開幕の日にはサイバー攻撃を1,000万回受けたといいます。

その他にも防犯カメラの増設や街中でのボディチェック導入など、検討しなければならないことはたくさんあります。東京オリンピックまであと6年、これは決して長い時間ではなく、早めに対策を打たなければ間に合いません。国や東京都だけでなく、民間企業のも一体となって東京の安全性を高めていく必要があるでしょう。

(写真提供:Luke,Ma)

『いかなる差別をも伴うことなく、友情、連帯、フェアプレーの精神をもって相互に理解しあうオリンピック精神に基づいて行なわれるスポーツを通して青少年を教育することにより、平和でよりよい世界をつくることに貢献することにある』というオリンピック・ムーブメントの目的に沿った大会でにすることはもちろんですが、64年の東京五輪や北京五輪、そしてまさに今進行中の2016年のリオデジャネイロ大会などを見てもわかるように、オリンピックを主催することが、開催国がその後大きく発展するきっかけになることは間違いありません。どうすれば成熟都市にふさわしい大会に出来るか、そのために今ある課題をどう解決するか、開催決定から1年、いよいよ動き出します。

(記事作成:戸高 浩太郎   記事編集: 和田有紀子

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