記事であなたの可能性が広がる ~学生のための記事・イベント配信サイト~

日本の高校を中退して渡英、アクティブコネクター代表 松本麻美さんインタビュー

目標は「Made in Japan」から「Made with Japan」へ

記事作成: 何 遥   記事編集: 和田有紀子 | Global |2014.10.20

アクティブ・コネクター株式会社 代表

松本麻美(まつもと あさみ)

女子学院高校2年次中退の後、経団連の奨学金を受けて英国United World Collegeに留学。McGill Universityにて開発学、政治学を学ぶ。その後東京大学大学院教育学研究科/比較教育社会学専攻で修士課程修了。外資系金融機関で修了後のキャリアをスタートした後、NGOと日本政府のパキスタン開発援助案件に携わる。2013年にアクティブ・コネクター株式会社(http://www.active-connector.com)を起業。現在、同社代表取締役として日本企業・日本の大学のグローバル化の問題解決に取組む。

学生インタビュアー

何遥(か はるか)

早稲田大学2年生、現在カリフォルニア大学バークレー校に留学中。心理学と教育に強い関心を持っている。多文化の中で一人一人がどう自分のアイデンティティーを確立するかということや世界の教育制度に興味を持っている。文章を通して、誰もが一人ひとりの個性を生かして社会に価値提供をできる人材になれるようサポートしたい。
https://www.facebook.com/haruka.ka

13歳で世界を変えたい、16歳で単身渡英

何「麻美さんは16歳の頃に当時通っていた高校をやめて渡英されました。なぜこの歳で、イギリスに行かれたのですか 」

松本「13歳のときに、世界で働きたいと思って、その答えとして国連を考えていました。国連で働く女性のインタビューが載っている本の中で、United World Collegeという、世界80カ国以上から学生が集まり2年間の寮生活を送るという国際高校について知りました。
世界を変えたい!世界で働きたい!と思うなら、まずは世界を知らなければ、ということでこのUnited World Collegeを目指すようになり、結果ありがたいことに、経団連から奨学金を頂き、この国際高校に行くことになりました」

「United World Collegeは世界各国にあるのですが、その中でも私は当時、自分が生まれ育ったアジアではなく、異なる文化である西洋に興味があり、イギリス校は志望校の一つでした。古いお城がキャンパスの一部だったりして、とても雰囲気が素敵なところ、かつ英国の中でもウェールズという大変自然あふれる環境で、多感な2年間を過ごせたのはとてもありがたいと思っています」

何「ではなぜ13歳の頃から世界で働きたいという思いがあったのでしょうか」

松本「13歳のときに、フィリピン人で日本のNGOで働いている人、ブラジル人で日本語が話せないのにシングルマザーとして日本で滞在していて困っていた人に偶然会うことがありました。他にも色々な本や雑誌を読む中で、世界には自分の育ってきた環境とは全く異なる中で、たくさんのチャレンジの中で生きている人たちがいることを知って衝撃を受けました。自分は日本という恵まれた環境で、たくさんの人に助けられながら、自分の持っている可能性を活かして行けることが出来る。そしてそれがとてもありがたいことだと気づいたときに、今度は自分が持っている可能性を活かすことが出来ずにいる世界の人たちの力になれたらよいな、と思うようになりました」

イギリスの高校からカナダのマギル大学へ

何「イギリスの高校を卒業後はカナダのフランス語圏にあるマギル大学に進まれました。ここを選んだ理由とは?」

松本「国連で働きたかったので、そのためにもフランス語を勉強しなければと思っていました。私の通ったマギル大学は、カナダのフランス語圏、ケベック州のモントリオールというところにあります。ここに通えば、日々フランス語に囲まれるので、フランス語が上達するだろう、と期待していました。実際はかなり英語が通じるので、思ったほど上達しなかったのが事実ではありますが」

何「カナダの大学生時代に取り組んだことを教えてください」

松本「カナダの大学に入って、2年目に当時のルームメイトのインド人の子と一緒に、インドのストリートチルドレンを支援するNGOの立ち上げに参画しました。私自身が行ったのは、カナダに支部を作り、NGOの運営に必要な資金を調達したり、インドというカナダからはるか遠い国の、ストリートチルドレンの問題を多くの学生に知ってもらうための啓蒙活動です。様々なファンドレイジングイベントを企画したり、啓蒙活動の一環としてストリートチルドレンに関する映画上映等を行っていました」

「この活動をブログで日本語で発信していたところ、そのブログを見た日本の大学生から問い合わせがあり、彼らと一緒に日本支部も立ち上げて、そこでもカナダと同様な活動を行いました」

s_松本2

マギル大学から東大へ 日本への帰国を選んだ理由

何「大学卒業後、なぜ日本へ帰国することになったのでしょうか」

松本「もともと大学を卒業した後に大学院に進学するということは、自分のプランとして高校生の頃から決めていました。これは、私が国連に行くのを目指している上で、修士号は必須であることと、あとはカナダの大学では、勉強が好きな人や上を目指す人は、ほとんどが大学院を目指すという雰囲気があったためです

日本文化を取り戻したくて

松本「日本に戻ってくることを決めるきっかけになったのは、自分自身が英国で2年、カナダで3年と時間を過ごす中で、日本の文化の中でなじめなくなっているのを感じ始めていたからです。実際今も、日本の文化を体現しているとは言い難いかもしれませんが、「日本の就職活動」「日本のはたらく環境」「日本人とコミュニケーションを日本人らしくとること」これら全てのことが、当時の自分にとっては、色々と違和感があり、自信をなくしていました。そこで大学院という形で日本に戻れば、その時間で日本文化を改めて取り戻すことが出来るだろうと考え、日本でトップの東京大学大学院に進学することに決めました」

日本でももっと、一人一人の違いを楽しめるように

何「日本とカナダ、英国での学生生活を送られた麻美さん。それぞれで感じたことの違い、日本に必要な改善点とは何でしょうか」

松本「多文化国家に身を置いていると、自分の隣の人がどんな異なる文化背景や考えを持っているのか、ということに常に意識を働かせる必要があります。それは決して毎回が楽な状況ではありませんでした。例えば友達とパーティーを開くにしても、ヒンズー教の人と、イスラム教徒の人がいたら、どんなご飯なら失礼じゃないかと考える必要があったり、ベジタリアンの中でも特に厳しいビーガンと言われる人を家に招けば、なかなか提供出来る料理がなかったり。異なる文化背景の人と楽しく話すためのジョークというのも、どこまでが冗談になり得て、どこからが失礼なのかということがよく分からなくて困ったこともあります。でもそういった苦労を乗り越えて、様々な国や文化の人と友達になったり、お話し出来た経験は、本、ネットでは得られること以上の、リアルな自分の学びや感動になっています」

「日本では、それぞれみんな個性的な背景を持っているはずなのに、みんな民族的には『日本人』という文化のもとひとくくりにされ、お互いの『ちがい』に目を向けにくい傾向にあるのかな、と思います。もっと一人一人の違いを楽しんだり、学びあえるようになれば、きっともっとたくさんの人が生き生きと生きられるのではないかと思っています

銀行、国際協力機構、を経て起業

何「キャリアについて伺わせてください。卒業後はゴールドマンサックスに就職された理由とは?」

松本「私の専門とは開発とは最も異なる分野に身を置いて、そこでどういうことが行われているのか、そこにはどういう人がいるのかということを学んでみたいと思いました。私自身は銀行の中でも、オペレーション部門というサポートの方にいたのですが、その中でも金融という自分がそれまで全く馴染みのない分野で挑戦出来ることがとても貴重な経験でした」

何「その後はJICAへ?」

松本「パキスタンで交通インフラプロジェクトの立ち上げを中心に取り組みました。私はその中で日本政府・パキスタン政府との交渉を行いました」

s_松本3

 世界の人と一緒に取り組み、世界に発信する「Made with Japan」へ

何「投資銀行とJICAを経て2013年にActive Connectorを設立された経緯を教えてください」

松本「NGOやJICAで開発援助という形で、世界に関わっていたのですが、『援助』という形ではなく、日本も世界も一緒に元気になって行く、しかもそれがイノベーションというところから生まれていかないか、という想いでいっぱいになりました。その中で、今まで全て日本人によって日本のために作られてきた「Made in Japan」という発想を、世界の人と一緒に取り組み、世界に発信していくという「Made with Japan」という発想に切り替えることが大事ではないかということに気付きました。そういったミッションを前面に掲げている既存の会社がなかったので、賛同者と共に起業することを決めました」

何「Active Connectorについて詳しく教えて下さい」

松本「グローバルにプロダクト・サービスを展開したいと思っている日本の企業に対して、日本と世界の文化を行き来出来るようなハイブリッドな人材『外国人留学生』を橋渡しし、グローバルスケールのイノベーションを起こしていく、というのが目的です。具体的には企業へのインターンやフルタイムの人材紹介から、グローバル新規事業立案のお手伝い等を行っています」

s_松本4

 自分の状況を活かして、少しでも他の人のためになりたい

何「日本のみならず世界にインパクトを与えている麻美さん。まさに13歳の頃の想いを実現してきています。これから、どのように世界を変えたいと思われますか」

松本「基本は世界をより良くしたい、という思いは13歳のときも今も変わりません。ただ、昔は、世界を良くする=国連、しか考えられなかったのですが、今はビジネスでも出来るし、学問でもいいし、色々な方法があるんだなと思っています。また、世界ということを考えたときに必ずしも海外というくくりでなく、地方という世界や、身の回りの家族という世界だったり、色々な世界があるのだなと感じています」

何「これほど麻美さんを前に進めている『世の中を変えたい、よくしたい』というパッションの源泉は何なのでしょうか」

松本「自分がたくさんの人に助けられて、自分が持っていた可能性を伸ばすことができた、という実体験だと思います。小さい頃、よくおじいちゃんとおばあちゃんの話を聞いていましたが、戦時期という時代が時代だったので、多くの我慢をしなければいけなかったり、せっかく持っていた才能も環境という中でなかなか活かされなかったことも多くあったようです。今の日本、そして自分の環境に生まれた、ということがどれだけ恵まれているのかと考えた時に、自分のこの状況をしっかりと活かして、少しでも他の人のためになれたらよいな、と思っています」

心地よい「コンフォートゾーン」から飛び出すこと

何「一歩をなかなか踏み出せない学生へ」

松本「自分が心地よいと思うコンフォートゾーンを飛び出して、たくさんの出会いを楽しんでください。失敗なんて何もありません。挑戦して、そこから色々なことを全身全霊で感じたら、そこからたくさんの学びがあるはずです」

「はっきり自分がやりたいことがわからない学生も、とにかく挑戦してみること、色々な人に出会うこと。自分が好きなこと、嫌いなこと、ワクワクすることは何か、そういったことを経験を通して考えて、感覚を研ぎすますことが大事ではないでしょうか」

「ボランティア、旅行、サーフィン、山登り、インターンシップ、外国語学習、知らない人にたくさん会う…何でもいいと思います。そういったことに挑戦する時に、どれだけその体験を自分の学びに変えられるか、自分が色々と感じられるか、それが一番大事です」

何「最後に学生へのメッセージをお願いします」

松本「人と自分を比べないで、自分の直感・感覚を大事に『今』を生きてください!必ずそこからたくさんの道が開けてくると思います」

(記事作成:何 遥   記事編集: 和田有紀子

「いいね!」で、最近の情報をチェック!