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株式会社NOVA社長、伊藤幸子さんインタビュー

英会話会社NOVAの女性社長、伊藤さんに聞く、想定外のビジネスライフとは

記事作成: 中野 綾香   記事編集: 和田有紀子 | Global |2015.01.08

『大手企業の社長』というと、自分のキャリアパスには程遠いと考える人もいると思います。もちろん取締役として仕事を任されるまでには多くの努力や苦労が必要ですが、思わぬことをきっかけに社長になることもあるのです。大手英会話教室の社長である伊藤幸子さんもその一人。女性社長として活躍されている伊藤さんの予想外のビジネスライフとは一体どのようなものなのか、また伊藤さんが考えている本当の意味でのリーダー像とは何なのか、お聞きしました。

株式会社NOVA社長

伊藤幸子(いとう さちこ)

愛知淑徳大卒。
ジーエデュケーション(現NOVAホールディングス)に新卒として入社後、個別指導の学習塾で勤務。その後外食事業など他業種のM&A案件に携わり、2007年、同社のNOVA承継時に英会話部門に異動。
NOVAの再建に取り組み、2013年12月、㈱NOVA設立と同時に代表に就任。

学生インタビュアー

中野 綾香(なかの あやか)

1992年、長野県出身。慶應義塾大学法学部政治学科在学。
いつもは見ることの出来ない、人間の新たな一面・魅力を、インタビューを通して引き出したいという信念のもと、トモノカイgi人材projectで活動を始める。

自分たちが自分たちの商品やサービスに誇りを持つことがお客様の満足に繋がる

中野「事業再建後、全国で事業を展開しているNOVAでのお仕事はとても大変だと思います。そのような成長を遂げている会社の社長という立場の伊藤さんが仕事をする上で大切にしていることはどのようなことなのですか」

伊藤「自分で自分を誇れる仕事をすることです。英会話業界に限らず、どの業態でも自分たちが売っている商品やサービスに自信を持っているスタッフは輝いていると思います。自分たちの商品・サービスにプライドを持って働くということは大切で、それがお客様に伝わることで顧客満足度の向上にも繋がっていくと思っています」

「女性だから」ということにこだわらない

伊藤「私が現在代表を務めている会社は、日本社会では珍しく女性の人数が多いです。そして私自身も女性なので『女性社長』ということによく注目されます。しかし、働く中でわかってきたのですが、『女性だから』できることは特にないです。世間一般では女性だからきめ細やかな仕事をするというイメージがあると思うのですが、私は逆に男性の方が繊細できめ細やかなのではないかと思っているほどです。自分もそうですが、女性はみんなパワフルで欲張りですよね。プライベートも仕事も全部充実させたい。仕事が充実していないと自分の人生が充実していないということになってしまう。楽しく仕事をしていくことが私の目標でもあります」

NOVAの倒産、そして復活への道のり

中野「数年前に大手英会話教室であったNOVAの倒産は大きなニュースとなりました。旧NOVAから事業を承継されて7年が経ちましたが、その業務引受にあたり大変だったことはありますか」

伊藤「とにかく必死に無我夢中でやってきた7年だったので、何か苦労があったかと聞かれると、そこまで思い出せないです。もちろん大変でしたが、チャレンジするしかないという状況だったので、チャレンジすることを社員と一緒に楽しんでいたという面が強いかもしれません」

中野「そのチャレンジするしかないという極限の状況を乗り越えるためにはどのようなことが必要だったのでしょう」

伊藤「一つの強い信念や目標があることが大切だと思います。承継した当時には社員全員の中に、倒産前のNOVA、英会話業界のパイオニア的な存在で圧倒的な規模を持っていた時の状態を絶対に取り戻すという共通の目標がありました。この揺るぎない目標のおかげで困難を乗り越えられたのだと思います」

英語

 本当の意味でのリーダーになるために

中野「なるほど。目標を持つことと同時に社員の結束力を高めることも必要になってくると思いますが、伊藤さんはどのようにして社員をまとめているのですか」

伊藤「私は自分の思いを伝えることでリーダーシップを執ってきました。自分や会社の想い・理念を的確に伝える力は、リーダーになる人にとって大変重要なものだと思います。社長という立場から『こうしなさい』と命令するよりも、社長として自分なりの想いや考えを伝えることによって、その元で働く社員も一人一人主体的に考え、提言・提案が出来る存在になっていくと思います」

中野「伊藤さんはNOVAの社長になる以前に様々な業種を経験されているとお聞きしています」

伊藤「そうですね。私は現在NOVAを経営している親会社に新卒として入社したのですが、この会社はベンチャー的な要素も強く、様々な業種のグループ会社を包括していました。その中で、飲食企業のM&Aに関わったり、カフェ・ベーカリーの社長を務めたりしました」

中野「それぞれの仕事で要求されるノウハウというものはありましたか」

伊藤「もちろん現場レベルでは業務内容がかなり違うので、その面を見ればそれぞれ異なるノウハウが必要となりますが、マネジメント自体はそれほど変わりません。従業員のモチベーションを維持・向上させることは業種が変わっても一番重要なことですし、一人一人実力がある社員なので、それを発揮していけば業績に繋がると思います」

「私の入社した会社は、責任のある仕事を早くから任される社風だったので、同期に負けないように日々頑張っていました。自分より年齢が上の人が部下になることもありますし、逆に自分より若い人が上司になることもあり得ます。入社当時に一番驚いたのは月に一回人事異動があり、昇降格が行なわれることです。一般的な日本の伝統的な年功序列制度とは異なるこのような能力主義の社風を通して学んだり反省したりすることも多くありますね」

想定外のビジネスライフ

中野「このようにビジネスを成功させている伊藤さんは、大学生時代もとても活発に活躍されていたことと思います」

伊藤「大学生時代はごく普通の女子学生でした。そして就活氷河期であったのにも関わらず、就活時にはあまり将来のことを考えていないという楽天家でしたね。キャリアウーマンとしてバリバリと仕事がしたいだとか、トップに上り詰めたいだとか、そのようなことは全く思っていなかったので、今このように社長として働いていることに自分自身びっくりしています」

「今、自分で自分のビジネスライフを振り返ると想定外過ぎて自分でも楽しいです。全然こんなはずではなかったのに、結果的にこうなった感じなので、とても目まぐるしいキャリアでしたが、常に新しい環境に身を置けてきたことは大変刺激的でした。チャレンジすることが沢山あるというのはやりがいがありますからね。また、大学時代は経営とは程遠い文学部で歌舞伎・浄瑠璃などを勉強していました。大学の勉強は社会に出てから役に立たないという人もいますが、今社長という、社員や社会に言葉を発信する立場になってみると、大学で学んだ表現力が多少は役に立っている気がします」

英語を話したくなる環境に身を置くということ

中野「英会話教室の社長に就任されたということは元々英語が得意だったのですか」

伊藤「それが、私は元々全く英語が出来なかったのです。日本人は英語が話せない人が多いとよく言われますが、私もそのうちの一人でした。したがって現在も英語を勉強中の身です。今だからこそ日本でも国際化や英語教育と叫ばれていますが、少し前の日本では仮に英語が話せなくても生きられる世界でした。英語が出来なくても就職出来るし日常生活にも不自由はない。結局環境を変えない限り英語の必要に迫られることもなかったのです。したがって英語を話さざるを得ない環境を作ることによって英語の必要性を実感するようになりますし、それと同時に話したい環境を持続させることもモチベーションに繋がります。海外旅行に行くと『英語がもっと話せればな』と思う人が多いと思いますが、頻繁に海外に行くことは出来ないので、海外の友達や英会話などを通じて維持していくことが大切ですね」

「そして、もちろん英語も重要ですが、私はもっと日本文化も大切にしたいと思っています。こんなに多様で伝統的な日本の文化がなくなっていくのはもったいないですよね。今、日本の人で着付けが出来る人はとても少ない。英語でお盆などの日本固有の文化を説明することも出来なくなってきている。自分の国のことを知ることによって、海外への理解も深まるのではないでしょうか」

無題

 Actions speak louder than words

伊藤「自分はひょんなことからこのような社会人生活を送ってきましたが、今までのビジネスライフの中で何が大切だったかというと、めげないことだと思います。現在大学生である皆さんは、将来就活に失敗して希望していない職業に就くこともあるかもしれませんし、志望通りに就職しても思っていた仕事ではないかもしれません。しかしながら、どこで仕事をしたとしても要は自分次第だと思うのです。これは受験と同じで、もし受験に失敗して自分の志望とは異なる大学に入ったとしても、新たな目標を見つけて生きていかなければなりません。どのような環境でもめげずに生きていく力というものが、この頃の新卒の社員をみていると、少しずつなくなってきている感じがするのです。失敗して当たり前。怒られたとしてもそれはアドバイスをもらっているということ。めげないとわかっている部下のほうが全力で指導出来るので、精神的にタフな学生は成長していくと思います」

「そしてもう一つ伝えたいことは、経験にまさる財産はないということです。何もやったことがないのに色々と批判だけしている評論家の方とかを見るとどうなのだろうと思います。バイトをしたりサークルを楽しんだり、ゼミでの勉強を頑張ったり、世界を旅してみたり・・、そのような経験と人との出会いが積み重なっていくことで人間力や精神力が培われていくのだと思います。大学生のうちに様々なことを考え、経験していくことが大切ですね」

(記事作成:中野 綾香   記事編集: 和田有紀子

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