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ヨーロッパでは当たり前?軽減税率って何?

記事作成: 高橋 真理奈   記事編集: Marina_Takahashi | Future |2015.12.21

今年の4月から消費税は8%に増税され、私たちの消費活動にいくつかの変化をもたらしました。10%への増税は先送りになりましたが、政府はその導入時には、生活必需品に対しての軽減税率の適応を検討しています。購入額が安くなることは、消費者である私たちにとって喜ばしいことではありますが、社会保障の財源である税収入額を考えれば、ついこの間の増税分が上手く活かされるのか疑問が残るところでもあります。今回は、消費税の軽減税率がどういった仕組みでどんなメリット・デメリットがあるのかを検証します。

消費税は国の一番の収入源

わたしたちが国で生活をする上で、社会にはなくてはならないサービスや施設がたくさんあります。それらを施すために、政府は国民から資金を得て、ものやサービスという形でリターンします。このサービスや施設にあたるのが、学校や病院などの公共施設、保険や教育費などのサービスです。その税収入の中で一番大きな割合を占めるのが、実は消費税なのです。

しかし、消費税は収入の大小に関わらずにすべての人が購買行動を通じて一律に税を負担する税制度です。所得の低い人ほど贅沢や余暇にお金を使えず、支出に占める生活必需品の割合が高くなります。こうした家計の消費支出にしめる食糧の割合をエンゲル係数と言い、この係数が高いほど生活水準が低いとされています。この“逆進性”が平等性を重んずる現代社会では、課題となります。

軽減税率の特徴

そこで、負担を平等にしようというのが軽減税率です。軽減税率は、食品・医療・衣料品などの生活必需品に対して低く設定される税率のことを言います。

低所得者ほど収入に対する食品の消費を占める割合が高いので、消費税は逆進性のある税です。現段階では、自民公明両党で対象品目として酒と外食を除く食品全般にすることで合意しています。ここでミソとなるのは、外食の線引です。ファーストフードのテイクアウトやコンビニのイートインは?たこやきなどの露天は外食なのか?実は、生活困窮者ほど安くて高カロリーなファーストフードやスナックを比較的多く消費する傾向があります。一般的には外食=贅沢だという解釈があっても、財政状況によってはその意味がかわることがあるので、一概に言えないところが現実としてあります。

各国で様々な軽減税率事情

生活必需品の線引が困難なのは、すでに消費税の軽減税率が導入されている他国で明らかです。そして、その基準がユニークであったりします。

たとえば、イギリス。フィッシュ・アンド・チップスハンバーガーは標準の20%ですが、スーパーのお惣菜は0%です。これは、温度によって決められていて、“販売時点で気温より温かいもの”には標準の税率が適用されています。

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フランスでは、高級品と思えるバターが5.5%であるのに対し、マーガリンはなんと標準の19.6%です。これは、農業大国であるフランスの酪農を保護する目的で標準税率が適用されています。

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(出典:http://keiritsushin.jp/keiri-info/news/reduced_tax_rate2/)

ほかにも、アメリカ・ミネソタ州では靴・衣類の小売売上税が0%です。経済状況が厳しい人への配慮というよりも育児の支援が目的ですが、税制度を上手く利用した社会保障の一つですね。

社会保障が希薄になる可能性!?

消費税の軽減税率が導入されれば食費が減って家計の助けになりそうですが、社会保障を必要としている人にとっては、一概にいいことばかりではないようです。消費者が払う税金が少ないということはつまり、政府の税収入が減り、これによって社会保障のサービスが怠るかもしれません。

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(出典:https://www.nta.go.jp/shiraberu/ippanjoho/gakushu/hatten/page03.htm?non)

平成27年度の1年間の国家予算は96兆円ですが、半額以上を税収入が占めていて、のこりは国債費です。そして税収入のうち、一番多くを占めているのが消費税の17兆円(15%)になります。政府の発表によれば、すべての食品を2%軽減した場合、およそ1.4兆円の減収が見込まれます。

一方、記憶に新しい消費税8%への増税では、増税分で年金・医療・介護・子育てなどの社会保障に充てる予定でした。しかし、軽減税率に伴う事務手続きの経費には1兆円がかかると言われてとり、たとえ税率が10%に上がったとしても、600億円が不足する見込みです。

家計負担の補助である消費税の軽減によってこうした社会保障が予想していた通りに運用されなくなるようであれば、税率は今のままで、社会保障を充実させるべきだと思う人もいるかもしれません。

今後、消費税の軽減税率導入により、家計の負担が減ることは期待出来ますが、それによって生じた税収入が減少しても社会保障の充実性は担保されるのかー。

来夏の参院選に向けて対象品目や減税率に今後も注目です。

出典
NHK NEWS WEB(http://www3.nhk.or.jp/news/keigenzeiritsu/index.html)
財務省(https://www.mof.go.jp/budget/budger_workflow/budget/fy2015/seifuan27/01.pdf)
経理通信(http://keiritsushin.jp/keiri-info/news/reduced_tax_rate2/)
※すべて2015/12/15最終閲覧

編集後記

税金の役割を考えると、たしかに収入が少ない人への考慮は必要であると言えるでしょう。しかし、それと同時に、少なくなる税収がどのように補われるかにも注目することで、必需品の減税が長期的にメリットになるのか、デメリットなのかが見えてくると思います。また、軽減税率を必要としている人たちのニーズに沿った制度になれば、その基準が日本のユニークな基準として世界のモデルにもなるかもしれません。

(記事作成:高橋 真理奈   記事編集: Marina_Takahashi )

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