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動物を保護するペットサロン!?友森玲子さんインタビュー

記事作成: 高橋 健太   記事編集: 高橋 健太 | Innovation |2016.04.15

友森 玲子(とももり りょうこ)

動物病院の勤務を経て2002年ペットサロンミグノン開業。2007年より東京都動物愛護相談センターから動物の受け入れと譲渡を開始。2011 年東日本大震災を機に千葉県東金市に犬のシェルターを開設。その後中野区へ移設し、続いて猫シェルターを開設。2014年ペットサロン、クリニックが一体化し保護活動を支えるための株式会社ミグノンプラン設立。現在は年間で約300頭の動物を受け入れている。

高橋 健太(たかはし けんた)

1992年3月生まれ。愛知県出身。寝ることを至上の喜びとしている。

動物保護を支える仕組みをつくる

日本では、多くの犬や猫などが毎年殺処分されている。その数自体は減って来ているものの、環境省の調べによれば2014年度は、合計約10万1000匹の犬と猫が殺処分されているといった状況にある。

殺処分から犬や猫を救うため、保健所やNPOなどのボランティアによって、犬や猫を育てる里親を探すために譲渡会が行われる等、様々な取り組みが行われている。

北参道にある株式会社ミグノンプランはそんな問題に取り組む、少し変わったお店である。

そこの代表取締役を務める、友森玲子さんにお話を伺った。

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高橋「このミグノンプランというお店は、どういう店なのでしょうか。」

友森「動物を飼う人のアドバイザー的なお店を目指しています。事業としては、動物病院と、ペットサロン、犬や猫のためのフードとかグッズの販売です。」

高橋「店内を見ると、犬や猫がいっぱいいるのですが、ここではペットショップも兼ねているのでしょうか」

友森「ここはペットを売る場所ではありません。一般社団法人ランコントレ・ミグノンという非営利法人があるのですが、そこで動物を保護し、譲渡をする過程で、ここでも一時預かりしてくださる方を探しています。ここはシェルターのような場所ですね。ミグノンプランでペットサロンや動物病院などを運営し、得た利益でランコントレ・ミグノンへ支援するという形になっています。」

mignon(ミグノンプランHPより)

高橋「なるほど。営利・非営利の2つの団体で動物保護の活動をしているんですね。友森さんがこの店を始めようと思われたのはどうしてなのでしょうか。」

友森「動物が好きで、昔は動物病院の看護師兼トリマーとして働いていました。でも、それって女性の生涯の仕事という感じではなかったんですよね。やっぱり生涯動物に関る仕事をしたいと思って、2002年に犬の美容室ペットホテルを兼ねたグッズショップを開業してマイペースに仕事をしていました。
2007年には借り入れていたお金を返し終わったので、何か新しいことをやろうと思って愛護団体にボランティア登録をしました。それが今の活動をするきっかけになったと思っています。
その時は丁度自分自身の犬を飼いたいなと思っていた頃で、子犬じゃなくても犬とは良い関係を作ることができるので成犬でもいい、それに一次預かりの方が生涯で自分がかかわることのできる犬の数は多い。やっぱり動物の殺処分というところに問題意識はありましたし、助けられる犬の数を増やすことができるのではという思いで登録しました。

そういうわけで、動物の愛護団体のボランティアに登録してたんですが、不思議なことに動物業界の人がほとんどいなかったんです。ペット業界のものからすると、もっとこうしたら…と思うことがありました。
でもそういうことを指摘するのって、係わり始めてすぐの人間が言うと感じが悪いじゃないですか。じゃあ自分で団体をつくればいいやと動物保護の団体を2007年に立ち上げたんです。」

高橋「すごい、ボランティアに登録してすぐのその年に思い立ったわけですね。」

友森「まずは自分の身近で、自分の住んでいる地域で動物を助けようと思って、東京都の動物愛護団体として登録したんです。それによって行政で処分される動物を引き受けることができるようになりました。それからはペットサロンを営業しながら、保護活動を続けました。そこから2014年に、動物のためのクリニックとペットサロンが一緒になった、株式会社ミグノンプランが立ち上がったという流れです。」

動物愛護に関心が高くない人も巻き込んでいく

高橋「なるほど。それではペットショップでなく、友森さんの保護団体の譲渡会やこのミグノンプランという店に来る方というのは、やはり動物愛護の意識が高い人が来るのでしょうか。」

友森「最近は本当にバラエティー豊かで、動物愛護に対する意識がそこまで高くはない人達が来るようになりました。それがミグノンプランの成果だとも思っています。最初のうちは、むしろ病気の子をもらいます、というような動物愛護バリバリの人が来ていたんですけれど、それでは活動が広がっていかないんですよね。色々な人を巻き込む必要がある。
最近は、初めて動物を飼いますというような人も来てくれて、そういう人にとっては、困ったときにここだと相談に乗ってもらえると安心して来てくれたりします。もちろん今までみたいに、なんでも受け入れますという方もたくさん来てくださっています。」

高橋「普通のペットショップよりも個々の方が良いだろうという意識が芽生えてきたということなんですね。」

友森「それは目指していたところでもあって、近所のペットショップに行く感覚でこういう店に来ることができれば、一定の審査を経たうえで動物を譲り受けることができる。そうして保護動物の数を減らしていくことができるんです。
また、ミグノンプランでは動物が健康に暮らせるようにと、フードもオーガニックなものを販売しているので、ペットの健康に気を使う人にもよく来ていただいています。」

動物の目線に立った活動を

高橋「動物を譲渡するときの審査の基準というのはどんなものなのでしょうか。

友森「主に年齢と家族構成と、飼育可な住居かどうかですね。動物を手放したいという相談も受けているので、それをもとに審査基準を作りました。最近は犬や猫の寿命も20年を越す子が多くなってきているので、最後まで面倒を見られる人にお願いしたいので年齢的には60歳以上の人は基本お断りしています。
加えて、ライフスタイルに合わせてこちらから提案させていただくこともあります。“休日に犬とキャンプに行きたい”という人にはドライブやお出かけ好きなワンちゃんをすすめるなど、ワンちゃんや家族の負担にならないようにと考えています。」

高橋「年間どれくらいの頭数を譲渡されているのでしょうか。」
友森「月に2回譲渡会があって、一回に平均10頭ぐらい、なのでだいたい年間240頭ぐらいですね。東京都からは年間300頭ほど受け入れているので、だんだんシェルターがいっぱいになって来ています。でもずっとシェルターにいるのはあまりよくないので、できるだけ一次保護のボランティアさんのお宅に預けるようにはしています。
早い子だと、半年ぐらいで譲渡先がきまるのですが、長いと3年くらいずっとウチにいる子もいますね。」

高橋「2011年の東日本大震災の時には、おそらく多くのペットが飼い主や家を失ったと聞いています。その際の活動について教えていただけますか。」

友森「東日本大震災では被災地も広大だったので、東京都の動物だけと言っている場合じゃないと思って、3月11日には動物用のシェルター用のプレハブや土地を探し始めました。それからすぐに原発事故がおきて、原発の周りに住んでいた人が動物をおいて避難したというのを聞いて、政府の対応を待っていたんですけど、それどころじゃなさそうだぞ、と。多くの人命が失われていたので、もちろん人命が優先なんですけれど、これ以上動物を餓死させていいのか?と思って動き出しました。

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ガソリンが当時無くて、3月20日頃にやっと満タンまで給油できたんです。それから、募ったメンバーと知り合いから借りた車で東北に向かいました。放射能の被害が色々と言われていたので、100均のレインコートを防護服代わりに毎回使い捨てて、捕獲作業を行いました。
家に動物を残してきた人から救助依頼を受けたりして保護に向かって。捕獲が無理そうなときは餌を大量においてくる等をして、3月から冬ぐらいまで休日に通いながら180頭ぐらい保護しました。

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保護した動物は、仮設住宅に入ったときなどに返すこともできた子たちもいるんですけれど、でも仕事もなくて、気力もなくなってしまったりして、飼うことをあきらめてしまう人達もいるんですよね。1年たった頃からは預かっていた子たちを譲渡に切り替えました。」

高橋「元の飼い主から、まだ預かっていてほしいとは言われなかったんですか。」

友森「諦めきれないと言っていた家族もいたのですが、じゃあ引き取る努力を、と少し冷たいようですが言いました。やはりずっとシェルターで保護したままというのは、かわいそうですし。動物の寿命のことを考えていると、新しい飼い主を捜すべきなんですよね。

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今でも当時係わった人とは連絡を取っていたりもします。少し不謹慎かもしれないんですが、震災で得たものも多かったように思います。」

もっと多くの動物たちを

高橋「今後はどのようにしていきたいとお考えでしょうか。」

友森「今は保護団体のランコントレ・ミグノンが保護している動物は、ランコントレ・ミグノンが半額の治療費を支払うという形で診療しているのですが、もう少しミグノンプランの方の売上が上がったら、保護動物の医療費負担を減らしていきたいですね。最終的に0にして、保護動物をもっと受け入れられる環境にしたいと考えています。

こういう活動は短期間で終わってしまうと意味がないので、続けて行くことが大事だと思っています。どうしても、ずっと同じことをしていると飽きてしまうから違うことをし続けていて、自分を飽きさせないために努力しています。」

高橋「最後に、友森さんの情熱がどこからくるのか、教えて頂いてもよいでしょうか。」

友森「ボランティアは最大限自分を活かせる、最良の趣味だと思っていて、その時自分が一番充実しているんですよ。
若いうちはなんでもできるので、やりたいことを倒れるまでとことんやったらいいんじゃないかな。倒れないので(笑)。」

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思い立ったらすぐ行動する実行力と、それをなんでもなさげに言う彼女の力強さに、毎年数多くの動物たちが救われている。

※友森玲子さんの活動で保護された動物たちの譲渡会等の情報はこちら⇒ランコントレ・ミグノン

(記事作成:高橋 健太   記事編集: 高橋 健太 )

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